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IBM Build Partner Summit 2024レポート – グラナイト、やらないと!

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2024年6月13日、「IBM Build Partner Summit 2024」が日本IBM 虎ノ門本社のInnovation Studio Tokyoにて開催されました。

IBM共創パートナー様26社による展示ブースと7つの講演には、およそ400名近い参加者が集い、熱気あふれる1日となりました。

 

午前中の[基調講演1]では、経済産業省で企業DXに対する政策・立案などに携わっている河﨑幸徳氏を特別ゲストとしてお迎えし、「ビジネスを取り巻く環境とDX支援伴走型アプローチ・共創による課題解決や新しい価値創出について」と題した公開対談が、⽇本IBM テクノロジー事業本部 執⾏役員の村澤 賢⼀をホストに行われました。

 

対談では、日本のDX化の現状と、世界とのデジタル競争力のギャップについて、その背景や現状が解説されました。

2022年終盤から社会現象とも呼べるスピードで、IT業界のみならずさまざまな業種・業界の地図を書き換えている生成AIを、いかに迅速・最適な形で自社のビジネスモデルに、あるいは製品・サービスに組み込んでいけるのか——。この課題に向き合い、デジタルを活かした競争力向上の鍵を握っているのが「地域と人材」であるということが、河﨑氏の講演の重要なポイントでした。

そして状況打破の具体的な取り組みの1つとして、DXに取り組む準備ができた企業を認定するだけではなく、税制による支援措置や中小企業者を対象とした金融支援措置、人材育成の訓練に対する支援措置等が受けられる「DX認定制度」の活用を改めて推奨したいと、河﨑氏は話されました。

また、人材についても、国を挙げて推進している「リスキリング」だけではなく、より幅広い学びと育成、そして現場での実践が必要だと河﨑氏は強調し、マネージメント層とデジタルネイティブ世代の学び合いについて、具体的なエピソードが紹介されました。

 

村澤からは、公教育機関との共創の必要性についての紹介がありました。

米国での実験的な公立校による取り組みや、日本にも広がりつつある本格的な探求型学習の流れを受け、近々、公立中学校の先生たちをIBM Innovation Studioにお招きする予定で、「現場の声」を踏まえた公教育機関とテクノロジー業界の学び合いをスタートしたいと考えているとの話がありました。

今回のBuild Partner Summitのメインテーマである「【共創】による新しい未来を」にふさわしい幕開けセッションだったのではないでしょうか。

(写真右)経済産業省 商務情報政策局 情報技術利用促進課 地域情報化人材育成推進室長・デジタル高度化推進室長 河﨑 幸徳 氏
(写真左)⽇本IBM テクノロジー事業本部 執⾏役員 エコシステム共創本部⻑ 村澤 賢⼀

 

午後の[基調講演2]では、Straker Japan株式会社様、NDIソリューションズ株式会社様に、生成AIを活用した事例をご紹介いただきました。

Straker Japan様からは、2025年4月からプライム市場の上場企業に対し、決算情報の日本語と英語の同時開示が義務付けられることを受け、3人のバーチャル上の翻訳者が共創するかのように文章の品質を向上していくという、watsonxの生成AI機能を導入した翻訳機能の大幅改善の取り組みが紹介されました。

NDIソリューションズ様からは、生成AI・対話AI・RAG(企業固有のデータを利用可能にする生成AI技術)を組み合わせた、汎用AIチャットボット「CB3」と「きんちゃぼ」の進化についての紹介がありました。

 

Straker Japan様、NDIソリューションズ様、両社ともに「ゲームチェンジャーとしての生成AI」についてさまざま側面を紹介していましたが、イベント参加者は、先月ボストンで発表されたwatsonxの生成AI基盤モデル「Granite(グラナイト)」のオープンソース化にも大変強い興味を示していました。会場でお話を聞いた、とあるパートナー企業の経営層の方は、以下のようにお話しされていました。

「グラナイトがよりオープンになったことで、他社生成AIの使用時に感じていたコストやライセンス、データの不透明性への心配から解放されます。これで安心して製品とサービスに生成AIを組み込み、より多くの解決策をよりすばやくお客様に提供できるようになりますね。

やっぱり、グラナイト、やらないと。」

 

その他、開催されたセミナーは以下です。

  • IBMセキュリティソリューションにおけるパートナー様同士の共創事例(株式会社セントラルソフトサービス様 / ベル・データ株式会社様)
  • 共創プログラムご紹介:組込型共創モデルのご紹介とイグアスのパートナー様ご支援事例(株式会社イグアス様 / 株式会社ディアイスクエア様)
  • 共創プログラムご紹介 : ネットワールドが考えるai の可能性(株式会社ネットワールド様)
  • これからの時代をリードするAI Value Creatorの育成、最新テクノロジーと今後の変化に備えるためのアイディア

 


ここで共創パートナー様26社による展示ブースの中から、いくつかピックアップしてご紹介します。

 

AITRIOS ™(アイトリオス) | ソニーセミコンダクタソリューションズ 株式会社様

AITRIOSは、イメージセンサーを活用したセンシングソリューションの効率的な開発・導入を加速するためのエッジAIセンシングプラットフォームです。AITRIOSのキーデバイスである、AI処理機能搭載のエッジデバイス(AIカメラ)と組み合わせることで、データ転送遅延時間の低減、消費電力や通信コストの削減に加え、プライバシーへの配慮にも貢献しています。

ブースでは、IBM Maximoと組み合わせて、物流パレットの傷や汚れの検知・検品や、作業現場の状況把握など、これまで人手で行ってきた業務を省人化・無人化するユースケースをデモを交えて紹介されていました。

 

TALENT FINDER | シルバーエッグ・テクノロジー株式会社

シルバーエッグ社は、watsonx上のLLM(大規模言語モデル)を活用し、履歴書を迅速かつ公正に評価し、将来性の高い応募者を見つけ出す書類選考ソリューションを開発しています。

職務要項からの採用基準、採用基準に基づく履歴書評価、適切な候補者への自動オファーなどをAIにより実装することで、履歴書受領からオファーまでの時間を短縮した事例などが紹介されていました。

 

tasCare(タスケア) | 株式会社オーイーシー様

ナースコール支援システム「tasCare」は、患者と看護スタッフのつながりをより強固にするシンプルなツールです。

「何を・いつまでにして欲しい」という患者さんからのリクエストを、複数の病棟スタッフがタイムリーに共有。内容に応じたタスクシェアで病棟スタッフ同士の「たすけあ」いと、看護師の一日をサポートします。

展示ブースの様子。左からソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社様。シルバーエッグ・テクノロジー株式会社様。株式会社オーイーシー様。

 

全セミナー終了後、特別ゲストである経済産業省の河﨑氏とエコシステム共創本部長 村澤による挨拶で、ネットワーキング・タイムがスタートしました。

 

全セミナー終了後、ネットワーキング・タイムのスタート前に、特別ゲストである経済産業省の河﨑氏とエコシステム共創本部長 村澤による乾杯の挨拶が行われました。

実は、河﨑氏は日本に50人ほどしかいないという一般社団法人だじゃれ活用協会の認定ファシリテータ。お得意のだじゃれを交えた河﨑氏の軽妙なスピーチを受け、村澤からも、参加者への意外な「お願い」が告げられました。

 

「皆様、本日は本当にありがとうございました。この後は、『共創』の可能性を深めるための対話を一層活性化いただき、親交を深めていただければと思っております。

その前に、1つだけお願いがございます。今日一日を通じて、多くの講演で皆様が耳にした言葉があったと思います。覚えていらっしゃいますでしょうか? 最後にその言葉を、皆さんにもご唱和いただけないでしょうか。

それでは、ご一緒にお願いいたします。」

 

“グラナイト、やらないと!

 

TEXT 八木橋パチ

 

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