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[事例] ヘンドリクソン USA社 | サプライチェーンとB2Bコラボレーションに自動化を

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導入背景 | 最大顧客からの「リアルタイムAPI機能」要求

ヘンドリクソン USA社(以下「ヘンドリクソン」)は、中型・大型トラックおよびトレーラー用サスペンションシステムの大手グローバルメーカーです。

ヘンドリクソンは、顧客が自社の提供能力に大きな信頼を寄せていることを認識しており、自社最大の顧客からリアルタイムAPI機能への対応を要求された際にも、対応可否ではなく、どのようにその要求に応じるかの検討を即座に開始しました。

そもそも、2015年の段階において、サプライチェーン取引の85%はすでにEDI(Electronic Data Interchange: 電子データ交換)により行われており、顧客、パートナー、サプライヤーにわたるB2B取引にAPIを使用する動きが業界に広がり続けていたことから、こうした対応を求められることも時間の問題だったのです。

 

また、ヘンドリクソンは注文入力、追跡、請求書発行など取引の約70%にEDIを使用し、クラウドベースの自社ERPシステムと顧客とをつないでいました。

しかしヘンドリクソン最大の顧客は、手動プロセスの大幅削減と作業効率の向上というEDIの大きな恩恵だけにとどまらず、「リアルタイム取引」というさらに大きな利点を手に入れようと考えていたのです。

 

利点の多いEDI取引ですが、事前出荷情報(ASN)に関しては1つ問題がありました。

サプライヤーが入庫予定日時や商品コード、数量などの保留中の配送品についての情報を顧客に事前に通知する文書がASNであり、それにより顧客は配送品が到着する前に入庫情報を確認し、受け取り準備を進めることができます。

しかしASNを送信するサプライヤーには、それが顧客側のシステムに正しく受理されているかを確認する方法がなかったのです。

導入経緯 | シームレスなトランザクションを「IBMにお任せ」で

ASNトランザクションのエラーは、大きな損害へとつながりかねないものです。

ヘンドリクソンの需要・流通アプリケーション担当ITマネージャー、センティル・カナン氏は言います。「トラックが到着した際にASNが正しく受理されていなかったら、サプライヤーはトラック1台分の積載物すべてを手動でリセットしなければなりません。これを避けるために、顧客は当社がASNを提出したときに、その内容にエラーがあればすぐに検出し修正できるリアルタイム機能を求めていました。

積荷が物流センターのトラック用ドッキングステーションに到着する前に、ASNが顧客のシステムに受理されていることが確認できることが重要だったのです。」

 

ヘンドリクソンは当初、自社によるAPIソリューションの開発を検討していましが、必要な規模と人員が明らかになると、それが実現性に乏しいとすぐに判断しました。

幸運なことに、ヘンドリクソンは10年前、クラウドベースのERPシステムに移行した際に、マネージドサービスであるIBM Sterling Supply Chain Business Network Premiumソリューションを採用しており、システムはすでに顧客、取引先、従業員とつながっていました。

そしてIBM Sterling プラットフォームは、ヘンドリクソン社内ですでに、さまざまな顧客取引のフォーマットを揃える「トランスレーター」として機能しており、導入以来、ヘンドリクソンの従業員から高い評価を得ていました。

 

そしてもう一つ幸運が重なりました。IBMはすでに、SterlingソリューションのアドオンとなるB2B APIゲートウェイ機能を展開する準備を進めていたのです。

この機能はまさに、IBM Sterling Supply Chain Business Networkが扱えるトランザクションの種類を拡大し、APIとEDIトランザクションだけでなく、既存のEDIフローをAPIフローに変換するハイブリッド・トランザクションをも含むものであり、ヘンドリクソンがトラック製造顧客の要望を満たすために必要としていたものでした。

これにより、すべてのトランザクションが単一ビジネスネットワーク内に置かれて処理されるようになり、業務の中断やインシデント対応時間の短縮、データ可視性の向上、セキュリティ強化などが実現されます。

ヘンドリクソンが希望していた「シームレスなトランザクション」が実現するのです。

 

ヘンドリクソンが契約していたIBM Sterlingソリューションはマネージドサービスであり、IBMのプロジェクトリーダーとサポートチームが含まれたものでした。

「取り組みは段階的なアプローチで進んでいきました。弊社が要件を伝え、IBMが設計を提供する。毎週の定時ミーティングで私たちは計画説明をIBMから聞き、それに対してフィードバックを行います。そして翌週かそれ以降、弊社の意見を聞いたIBMが設計を変更・調整して説明してくれます。

こうして、弊社は会議に出席し、設計を理解し、いくつかのテストを行いました。でもそれ以外はすべてIBMに任せていました。」カナン氏はそう話します。

 

導入効果 | エラー検出機能と即時対応でASNが100%利用できるように

最終的に、IBMチームは、ヘンドリクソンのトラック製造顧客にコンポーネントを供給している13の施設にソリューションを導入しました。

IBMチームは納期よりも早く導入作業を完了させ、ヘンドリクソンとその最大顧客を大いに喜ばせ、高い評価と満足度を得ました。

 

そして現在、ヘンドリクソンはトラック製造顧客のシステムにASNを送信し、ASNが顧客のシステムに正しく受理・展開されたか、あるいはなんらかの不具合が発生したかを、1回のAPIコールでリアルタイムに確認できています。

不具合が検出された場合は、ヘンドリクソンは即座にエラーを解決します。こうして、積荷が物流センターのトラック用ドッキングステーションに到着するときには、顧客のシステム上でASNが100%利用できるようになっています。

 

エラーを検出してこれを取り除くことができることで、顧客とヘンドリクソンは共に時間と費用の両面でコスト削減を実現しています。その高い効果から、最大顧客は現在、このAPI機能を拡張し、注文プロセスから順次他のプロセスにも追加・展開することを検討しています。

そしてヘンドリクソンの従業員もB2B APIゲートウェイ機能に満足しています。カナン氏はその理由として、1つのエピソードを語りました。

「以前は、『API接続に変換できない別の取引先とやり取りするので、ASNを顧客のポータルを通じて入力して欲しい』という顧客から要求に、従業員たちは時折応えなければなりませんでした。でも、今は違います。『もうあなたたちがそれをする必要はありませんよ。システム的に対応済みですから!』と言ってあげられるのです。従業員たちは皆とても驚き、そして感謝してくれます。」

 

IBM Sterlingソリューションが提供するハイブリッド・トランスレーション機能により、ヘンドリクソンはマッピング・プロセスをシームレスに行うことができています。カナン氏はこう説明します。

「弊社のERPシステムには一切手をつけずに済みました。すべての変更はIBM側で実行・管理されるのです。特定フォーマットで処理する必要があるファイルを受け取った場合は、IBMがその機能を作成してくれます。弊社がそれに関与する必要はないのです。」

 

今後の展望 | 自社開発ではなくIBMに任せた理由

IBM Sterling B2B APIゲートウェイのスケーラビリティは、ヘンドリクソンにとって大きなメリットです。

近い将来、現在の顧客がASNを超えるAPI機能を要求し、他の顧客もそれぞれのIT環境に固有のAPIマッピングを要求し始めるとヘンドリクソンは予想しています。

「いつになるかは分かりませんが、将来的には同様のプロジェクトが多数発生すると想定しています。それが自社開発ではなく、弊社がIBMに任せた理由の1つでもあるのです。

製造業である弊社には、想定されるボリュームに見合うだけのITの専門知識はありません。でも将来、新規顧客を獲得し、彼らから特定のASNへの対応を求められたら、その要求をIBMに引き渡して新たなAPIマッピングを任せることができるのです。」

 

カナン氏は続けます。「IBMとはとても素晴らしい関係が築けています。私たちが何か問題に直面したときにすることは、電話をかけて説明するだけです。IBMチームが弊社のために迅速かつリーズナブルなコストで問題を解決してくれます。

現在、私たちは実用的なAPI ソリューションを手にしています。そして成長スピードや規模に関わらず、弊社は今後もIBMの支援を受け続けるでしょう。」

 

ヘンドリクソン USA社について

1913年創業。世界の商業輸送業界向けに、中型・大型トラックおよびトレーラー用サスペンションシステムをはじめ、アクセルやブレーキシステムなどを提供する大手グローバルメーカーです。

イリノイ州シカゴに本社を置き、米国、カナダ、メキシコ、コロンビア、英国、ドイツ、フランス、オーストリア、ルーマニア、ポーランド、トルコ、インド、中国、日本、タイ、オーストラリア、ニュージーランドに製造および研究開発センターを置いています。

 

当記事は『A hybrid approach to connecting with customers made easy』を日本のお客様向けにリライトしたものです。


 

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