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IoTで地方を元気にできるなら、私も貢献できるかも(Watson IoT 林 久美子)

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Watson IoTチームメンバー・インタビュー #20

林 久美子 IBM System Engineering

 

IoTやAI、クラウドなどに代表される「社会を変容していくテクノロジー」と、IBMや自分自身とのつながりや関係について自由に語っていただくWatson IoTチームメンバー・インタビューシリーズ。第20弾の今回は林 久美子さんに登場いただきます。

(インタビュアー 八木橋パチ)

 

■ IoTにどっぷりハマって約1年

        — 今日はよろしくお願いします。さっそくですが、林さんはIoTチームのメンバーになって長いんですか?

いえ、まだ短いんです。関わりは2年ほど前からあったんですが、IoTにどっぷりハマったのはまだここ1年ほどなんです。

 

        — どっぷりハマってるんですね(笑)。それはどんな風に?

実は私、このインタビューシリーズが好きで結構読んでいるんですが、皆さんのようにそんな立派なことを語れるとは思えなくって。それで今日は、実際に私がやっている活動について聞いてもらいたいなと思って、いろいろ持ってきちゃいました。広げさせてもらいますね。

 

        — おおお! こりゃまたいろいろありますね! これは全部「私物」ですか?

そうなんです。ハマっちゃってからここ1年ほどの間に揃えたものです。

この一番大きな白い箱でできたロボットが「TJBot(ティージェイボット)」で、誰でも簡単に作れてIoT を体感してもらえるものです。そしてこっちの小さい…

 

        — ちょっと待った待った! 展開が早くてついていけないので順番にお願いします。まず「やっている活動」っていうのはなんなんですか?

すいません、つい早く知ってもらいたくて(笑)。活動というのは、IBMチャンピオンと呼ばれる社外のエンジニアのみなさんと一緒にやっているワークショップのことなんです。

月に1度くらいのペースで、先ほどのTJBotなどを実際に作ってもらって、IoTやクラウドについてのおもしろさを知ってもらうための活動をしています。

 

        — なるほど。ハマっているというのは実際に手を動かして作る活動なんですね。

そうですね。おもしろさやワクワクを伝えるには、それが一番分かりやすいんじゃないかと思ってます。

他にも「obniz(オブナイズ)」というIoT工作キットでラジコンを作ったり、「M5Stack(M5スタック)」というマイコンモジュールでそのラジコンを操縦する仕組みを自作したり。その方法をQiita

に公開もしています。

 

■ TJBotを自分で作るワークショップ開催中!

        — もともと「モノづくり」的ものが好きだったんですか?

いや、そんなことはなくって。私はIBMのグループ会社のISE(IBM System Engineering)所属なんですが、1年ほど前に「IoTソリューション」という部門に異動になったんです。所属部門ではデバイスからのデータ収集・蓄積、データの分析、結果を活用するアプリケーションまで幅広く取り組んでいます。

それまで業務の中心だった予測分析ソフトウェアとはまったく違う世界だったので、「勉強のために」と社外のIoTコミュニティーに参加したんですが、これがすごくおもしろいやら楽しいやらで…。それですっかりIoTにハマってしまい、ガジェットを集めてはちょっとしたIoTシステムを自作するようになりました。

 

        — なにがそこまでハマる要因だったんでしょう?

多分、もともと電子機器に萌えるような資質は持っていたんでしょうね、私。自分ではまったく気づいていなかったんですけどね。

でも、TJBotを自作した人は、結構な割合で強い愛着を持たれるんですよ。私だけじゃないんです。

やっぱり自分でイチから組み立てて配線し、頭の上のライトが光って手を動かす姿を見ると、皆さん作り上げたロボットを家に連れて帰りたくなるみたいです。

 

        — TJBotって、実際にはどういうことができるロボットなんですか?

パチさんはNode-REDってご存知ですか? ノードと呼ばれる一連のアクションをウェブブラウザ上でつないでいくだけでアプリを作れるんですが、それを使ってかなりいろんなことができるんです。

ハンズオンでは個々人の進み具合にもよるんですが、例えば話しかけると違う言語に翻訳して答えてくれたり、画像認識で顔を見つけると手を振ったりしてくれるようなプログラムをセットしていきます。

 

        — このTJBotのハンズオンワークショップに参加するには、結構なお金がかかるんですか?

ワークショップそのものは基本的には無償で、ちょうど今度開催するのはお一人1,000円だけ会場費実費としていただいています。

それからご自身が作ったTJBotが愛おしくなってしまった方のために、10,000円でお持ち帰りいただけるようにしています。こちらも基本的に実費ですね。

参考: 「ラズパイとNode-REDでロボット(TJBot zero)を作ろう! 」2019 #06基礎編

 

■ IoTで地方と一次産業を元気にしたい

        — IoTにどんな可能性を感じていますか?

IoTって、今の時代をすごく反映していると思うんです。昔はこんなに簡単にモノをインターネットにつなげることはできなかったし、そこから生まれるデータやインタラクションを、日常生活や業務に活かすことはできませんでしたから。

今日お話しした私のIoTとの関わり方は「楽しむため」という目的でしかないですけど、いずれはIoTをもっと違う大きな目的のための「手段」にできたらいいなと思っています。

 

        — 楽しむためとは異なる「目的」を見据えているということですよね。

はい、私の目的は「地方を元気にする」で、そのための手段がIoTだったらいいなと思っています。

別にIoT以外のものが地方を元気にしてくれるならそれでも構わないですけど、一番可能性が高そうなのがIoTだと思うし、それにIoTであれば、私も楽しみながら支援したり貢献できるところがありそうだから。

 

        — 地方に思い入れをお持ちなんですね。

そうですね。私は九州の海沿いの田舎町育ちなんです。帰郷するたびに、田んぼが減っていくなぁ…って寂しい気持ちになります。

やっぱり農業や水産業といった一次産業が魅力的にならないと、地方の復興は難しいと思うんですよね。具体的なアイデアがあるわけではないんですが、IoTには何かそこにつながる可能性があると思うんです。

 

        — 先日、Watson IoTを活用して農業支援をされているネポンの太場さんにインタビューをさせていただいたんですが「これからは稼げてカッコいいのは農業デザイナーだ」と言える世界を早く作りたいと言われていました。

参考: IoTで農業デザイナーを宇宙へ送り出したい(ネポン アグリネット インタビュー)

すごく共感します。「農業と漁業は勝ち組の仕事。いい人生を過ごせる!」みたいな認識が若者に拡がらないと、なかなか変わっていかないだろうなと思います。

私がやっているTJBotのワークショップにも、中高の教員の方がいらっしゃることがあるんです。「クラスの生徒たちに教える前に、自分でもやってみよう」って。そうやってIoTの可能性や楽しさを知った学生さんたちが増えれば、第一次産業に活かすアイデアを思いつく人が増えるかもしれないですよね。

 

        — すごく共感します。それでは最後の質問です。2035年に増えていて欲しいもの、無くなっていて欲しいものはなんですか?

増えていて欲しいもの…ですか。うーん、やっぱり繰り返しになっちゃいますが、地方に人と活気が増えていて欲しいです。

そして消滅して欲しいものは、都心の通勤ラッシュです。

 

        — 私も一刻も早く通勤ラッシュのない世界を実現させたいです! あれ、何も生み出さないですよね。

そうですよね。地方の一次産業に人が集まれば都心の一極集中も無くなるし、リモートワークための仕組みもどんどん充実してきているので、そろそろ無くすことも可能だと思うんです。

 

インタビュアーから一言

私は子どもの頃からプラモデルとかロボットとかにほとんど心が動かされることがなかったのですが、林さんの話を聞いて少し「TJBotを作ってみたいな」って思いました。

「プログラム経験がゼロで、手先の不器用さも折り紙つきの私みたいな人でも作れますか?」と聞いてみたところ「これまでワークショップで60人ほどハンズオンをやってきましたが、完成させられなかった人は一人もいません。それが私たちの誇りです!」とのことでした。

…もしかしたら、皆さんの誇りを崩す第一号がそのうち生まれてしまうかも!?(笑)

 

(取材日 2019年6月17日)

 

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