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6つの変革ドライバー | 在りたい未来を支援するITとは? シリーズ4 | 自動車とモビリティと都市の未来
2021年06月21日
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テクノロジーカンパニーIBMが磨いていく技術、共にそれを価値へと転換する企業、そして価値を未来への推進力としていく社会。
— 今回の5回にわたる連載では、AIをはじめとした技術変革が未来に向けてどのように社会変革と手を取り合っていくべきかを、「モビリティ」というキーワードを中心に置き、読者の皆さまと一緒に考える機会とすることを目的としております。ぜひ、フィードバックをお寄せください。
2020年10月、「知と実践の交流の場」そして「智の発信基地」としての活動を1946年から続けている「一般社団法人経営研究所(以下、経営研究所)」にて、招待企業による活動の発表と、経営研究所会員とのディスカッションからなる「自動車とモビリティの未来を考える研究会」が開催された。
招待企業として招かれた日本IBMからは4名が参加し、「IoT/AI 技術の活用。つながる車とモビリティ・サービスの未来」と題された講演と対話が行われたが、その中身は実に幅広なものとなり、未来社会を考える上で最も重要であり最深層基盤ともいえる「人と社会の在り方、経済活動との関係性」や「ヒトとAIの在り方、身体性とデジタルとの関係性」などをも含めたものとなった。
今回はその様子を「6つの変革ドライバー」と題し、「在りたい未来を支援するITとは?」シリーズ4の第1回目としてお伝えする。
4名の登壇者
村澤 賢一 (コグニティブ・アプリケーション事業部 事業部長)
新しい社会や人間の在り方にどうテクノロジーを活かし、社会基盤をアップデートしていくべきかを追求。2011年から日本IBMの各種事業組織を担当、現在に至る。
坂本 佳史 (CTO of Edge Computing in Japan)
テクノロジーがいかに人を幸せにできるかを研究している日本IBMのエッジコンピューティングCTO。Distinguished Engineer(IBMにおけるエンジニア最高職)。
磯部 博史 (コグニティブ・アプリケーション事業部 Master Shaper)
2008年に発表されたIBM Smarter Planet構想以降、都市の効率化や製造、モビリティーなどを中心に社会実装に取り組んでいる技術者。
渡邉 毅(ソフトウェア&システム開発研究所 IoTソリューション開発 部長)
入社以来、主に開発部門にてソフトウェア製品開発に従事。近年はつながるクルマから見えてくる新しいモビリティ&ライフスタイルを支えるソリューションの開発に取り組む。
■ 「変革のドライバー」6つの視座
2020年が、日本のみならず世界でも大きな変曲点になったことは疑う余地がありません。
これまでも「モノからコトへのシフト」という人間の活動の質を変えていく潮流はありましたが、COVID-19により非常に強い制約が発生したことで、これからの社会を支える仕組みを新たにしていく必要性が、より一層鮮明になりました。
こうした状況を受け、私たちコグニティブ・アプリケーション事業部を中心としたチームは、今後の変革のドライバーを6つの視座で整理しています。
テクノロジーカンパニーとして私たちIBMが磨いていく技術と、それを価値へと転換する企業、そしてその価値を推進力として未来へと進んでいく社会全体。その全体を俯瞰する視座となっています。
・ 視座1 | リアルとデジタル
これまで人類が歴史を刻んできたフィジカルワールド(物理空間)とサイバーワールド(デジタル空間)のバランスを変えていくことが必要なときが来ています。
「リアルとデジタルという2つの離れた世界が、ときに、くっついたり離れたりする」という世界観から、日々の暮らしや人びとの生活の起点がデジタル側へとシフトし、フィジカルワールドがサイバーワールドに包みこまれている、そんな「アフターデジタル」とでも呼べる世界観へと暮らしは変化しています。
社会も企業も、この2つの重なり方を捉え直し、そのバランスの変化を具体的な活動へと反映させていくことが重要となっています。
・ 視座2 | 専有と共有
シェアリングエコノミー(共有経済)についてはこれまでもさまざまな議論が行われてきていますが、COVID-19禍においては、改めて「コモン(民主的に共有・管理される社会的な富)」への注目度が高まっています。
・ 視座3 | グローバルとローカル
ヒトの物理的な移動が制約を受けるなかで、時間と場所を越えたコラボレーションへの関心は強まり加速しています。
そもそもサイバーワールドは時間と場所の制約が受けづらい世界であり、これまでは、かつてトーマス・フリードマンが書いた『フラット化する世界』と同期するかのように、グローバリゼーションは広がり続けてきました。しかし今、グローバルとローカルの捉え直しの重要性に気づいた経営層が増え続けています。
これからの社会を考えたとき、ゲゼルシャフト型(利益追求型の機能体組織)とゲマインシャフト型(人のつながり追求型の共同体組織)の双方をつなぐデジタルプラットフォームの構築と、人びとがそこにエンゲージする仕組みづくりこそが、事業体にはとりわけ重要となるのではないでしょうか。
・ 視座4 | ヒトとAI
今後、ヒトとAIの境目はどうなるのでしょうか? 少なくとも、この両者が排他的な関係とはならないでしょう。
メディアにはセンセーショナルなものが取り上げられることが多いせいか、日本ではAIに対し悲観的な意見も多いのですが、人口減や高齢化といった世界最先端の社会課題に直面している状況を鑑みれば、AIをいかに上手に活用することができるかが私たちの未来の鍵を握っているとも言えるでしょう。
信頼性の高いテクノロジーを基とし、人間の意思決定の質を高める支援をする「協働モデルとして望ましい姿」を、実態に則して検討する必要性が高まっていることは間違いありません。
・ 視座5 | 経済活動と社会
今まで我われが理解していた資本経済における付加価値の創出で、移転や消費という概念は捉え直されることになるでしょう。そして「そもそも付加価値とは何なのか」を見つめ直し、再定義する必要すら出てきているのかもしれません。
・ 視座6 | 自由とプライバシー
6つ目の視座「経済活動と社会」の再考と同様に、自由とプライバシーに関しても概念の捉え直しが必要となるのではないでしょうか。
世界には今、中国を中心に、監視すらいとわないデジタル実装を進めている社会環境も存在しています。そんな中で、自由とプライバシーの位置づけは今後どのように担保されていくべきでしょうか。
民主主義や資本主義という、我われが暮らす社会の土台から社会実装のレベルまで、そして行動やデータの自由とプライバシーについて、多層的な議論が必要となっています。
次回より、今回の6つの変革ドライバーを踏まえ、デジタル技術の現在地とこれからを俯瞰した取り組みを見ていきます。
在りたい未来を支援するITとは? シリーズ4
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