IBM Sustainability Software

エクサが語る! コロナ禍でのシステム導入支援、その裏側。

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昨年コロナ禍にも負けずIBM Maximo Asset Management(以下、IBM Maximo)を基盤とする新しい設備保全管理システム構築プロジェクトを実施し、無事にサービスインした東亜石油株式会社様。

多くのニュース記事などで導入企業である東亜石油様の声は紹介されていますが、導入プロジェクトを進めた、いわば「影の主役」たちの声はあまり見聞きする機会がないのが実情です。

今回は、「影の主役」であるエクサの高橋氏と山口氏へのオンライン・インタビューを実施しました。DX基盤の導入に興味関心をお持ちの方は必読です!

 

 

髙橋 友人氏 (以下「高橋」)

Smart営業本部 DXビジネス推進営業部 担当課長

座右の銘は「頑張らない」

 

山口 裕也 氏 (以下「山口」)

Smart営業本部 DXビジネス推進営業部 シニア・セールス・スペシャリスト

座右の銘は「手を抜かない

 


■ IBM Maximo導入カットオーバー直前のコロナ禍! さあどうする!?

 

— 本日は東亜石油様のIBM Maximo導入プロジェクトを中心にお話を伺わせていただきます。まずは期間はどれくらいだったのでしょうか?

高橋: 導入プロジェクトは2019年4月にスタートし、2020年6月にカットオーバーしました。

期間としては1年3カ月で、プロジェクト規模から見ても一般的な長さじゃないかと思います。結果としては当初の予定通りですが、実際はその最中にいろいろなことがありました。

でもなんと言っても、最大の障壁は新型コロナウイルスですね。これまで誰も想像も経験したことのない「コロナ禍における導入」ケースとなりましたから。

 

— カットオーバー直前の3カ月くらいは、世界中で最も新型コロナウイルスに対する不安が募っていた時期ですよね。

高橋: そうですね。3月の段階からさまざまな事態を想定してはいましたが、それを大きく超える厳しい3カ月でした。

関東圏に最初の緊急事態宣言が出たのが、忘れもしない2020年4月7日。まさにそのとき、プロジェクトはユーザーによる最終テストとユーザー教育のためのセッションの準備で佳境に入っていました。それと言うのも、この教育セッションがプロジェクト成否の鍵を握っていたからです。

 

こちらのページからダウンロードいただける「東亜石油株式会社様【導入事例】」でもご覧いただけるように、私たちエクサが導入プロジェクトのパートナーとして選定された大きな理由の一つは、現場の担当者向けの手厚い操作教育や充実した保守運用サポート体制が高く評価されたからです。

保全計画と予算計画をもとに、すべてのプロセスを一元管理可能な新設備保全管理システムを構築 | 東亜石油株式会社様

 

これはエクサの特徴でもありこだわりでもあるのですが、私たちはユーザー向け操作教育に力を入れています。なぜなら、システムをより良くご理解いただき、正しく使いこなしていただけてこそ、お客様の求める保全現場の変革が実現できるからです。それがエクサの推奨しているDX実現のポイントでもあります。

しかし今回は緊急事態宣言により、お客様にお約束していた「オンサイトでの全ユーザー向け操作説明セッション」の実施が難しくなってしまいました。

私たちとしてはどうにかして実施したかったのですが、国家からの要請となればそうも行きません…。

 

— 最終的にはどうされたのですか?

高橋: 刻々と変化する状況の中で、日々、東亜石油のプロジェクトチームと検討を重ねました。その結果、4月末に「できるだけ早く現場でIBM Maximoを使ってもらい、設備保全管理の高度化と業務効率化を実現しよう。そのためには予定通りのサービスインを最優先し、研修方法などを見直そう」という決断を下しました。

オンラインでの教育セッションへの変更を決めた後は、急ピッチで実施準備を進めました。オンライン研修には、その場での質問が出づらかったり、参加者の理解度合いを見極めづらかったりという特徴があります。

そのためセッション終了後も継続してアンケートを実施して参加者の声を集め、個別のQ&Aセッションを実施するなどをして、ユーザーの不安と疑問を取り除くことに注力しました。また、開けた会議室でソーシャルディスタンスを保った環境でのオンサイト研修も並行して提供して、稼働までのお客様の習熟度アップ・不安削減に努めていきました。

 

■ エクサの推奨しているDX | ヘルメットと安全靴に身を包んだIT屋だからできること

 

— 先ほど「エクサの推奨しているDX」という話がありました。具体的にはどういったDXを指しているのでしょうか。

山口: たしかにDXという言葉が一人歩きしていて、最近では人によりイメージするものがかなり異なっている状況ですよね。

私たちエクサのDXの特徴は、「デジタルがもたらすメリットを、現場のニーズに合う最適なソリューション選定から考え抜き、業務変革を実現する」という点です。

 

例えば、東亜石油様の例のように、設備保全管理に関してはそのほとんどが結果的にIBM Maximoの導入をおすすめすることとなりますが、必ずしもそれが前提というわけではありません。お客様のビジネスプロセスや運用実態を見極めて、もっとも相性の良いソリューションをご提案しています。

そして設備保全という限られた範囲でのシステム導入・展開ではなく、将来的な大規模DXを念頭に置いているお客様や、3Dや音声認識テクノロジーなどの導入も検討されているお客様には、そのための基盤づくりからしっかりと進めることをお勧めしています。

プレスリリース「エクサ、東亜石油の新設備保全管理システムをIBM Maximoで構築し、すべてのプロセスを一元管理可能に」より

 

— なるほど。それでは、エクサの特長と強みとは?

山口: 大手鉄鋼メーカーとエンジニアリング企業をその母体としていることもあり、モノづくりの現場が良く見えているのがエクサの特長です。

「良く見えている」とは、現場の設備と業務が実際にどう関わり合って動いているのか、情報がどう取得されどう流れていくのかを、しっかりと把握する力が強いということです。

IT(情報技術)とOT(運用制御技術)の両面に関する豊富な経験と知識を持ち、生産工程だけではなくFA機器にまで踏み込んで提案することができるメンバーが社内に揃っています。

 

高橋: 「私たちはIT屋ではありますが、普段からヘルメットと安全靴に身を包んだIT屋です」 — これは私たちが自負していて、お客様にもお伝えしている言葉です。

「ですから、現場深くにまで入り込ませていただきますよ」って(笑)。

 

— これからDXを進めたいと考えられているエネルギーや化学工業、インフラ産業などのお客様にはどんなアドバイスをされますか?

山口: 一般的な話としてお聞きいただきたいんですが、やはり業種に関わらずどの現場のどの現行業務にも、相当「ローカルルール」が組み込まれています。

例えば「本来のプロセスからは外れるけれど、緊急時にはこの作業を先に実施しておき、後から紙の修正依頼書を提出すれば良いということにしている」と言ったようなものです。言葉は悪いですが「抜け道」的な運用ですね。

 

もちろんローカルルールが一律に悪いというわけではありません。そういうやり方やプロセスが現場に残っているというのには、それなりに理由があるからですから。ただし、効率化と運用コスト削減に本気で取り組もうとすれば、こうした部分の見直しもいよいよ「待ったなし」ということです。

「今までできていたことができなくなるのは困る」という現場の方の声は、その通りでしょう。ですから、それができなくなる代わりにどういう実現方法が取られ、それが現場と会社双方にどんなメリットをもたらすかを示し、新しいルール作りを実現することが重要です。

 

■ 健全な状態でセンシングしなければ、データ解析も役に立たない

 

— 東亜石油様では現在Maximoはどのように使われているのでしょうか。

高橋: 導入の主目的である設備保全管理のDX化と、技術伝承と人材育成の実現に向けて着実に進んでいる感じですね。

こちらの導入事例ページの動画では、「作業や進捗手続きの見える化」「各種レポート類の出力」「予防保全を実現するためのデータ収集」など、東亜石油の皆様が直接語っている姿をご覧いただけますよ。

ただ一方で、「やはりデータ化され見える化されることで、新たに分かってくる事がありますね」という言葉や、「全面的なプロセス革新まで一気呵成に進めていくのは、やはり難しい」という言葉もいただいています。実践者ならではの重みのある言葉ではないでしょうか。

 

山口: データが蓄積されてくると、迅速に手を付けるべき「価値を生みだしている場所」が見えてきます。着々と「ヒト・モノ・カネ」を包括的に管理する準備が進んでいくということです。

データの格納位置を探したり覚えたり、エクセルに直接入力したりすることに時間を取られていては、本質的な価値創出はできないということがはっきりしてくるのです。

 

高橋: 現在は、現場DXが全社DXにしっかりと連結するように、東亜石油様が独自で進められる部分と、私たちエクサと共に進めていこうという部分とを、同時進行的に会話しているところです。

お客様が独自で進めているのは、資材の入出庫管理システムのMaximoとの連携トライアルです。これもMaximo導入により、データを連携できる正しいインプット先が出来上がったことで可能となったことで、スマートプラントやインテリジェント・ワークフローの実現には欠かせない要素ですね。

 

— 本日はありがとうございました。最後に、これから設備保全管理のデジタル変革を実行しようとされている方がたへのメッセージをお願いします。

高橋: 先日とあるお客様と話していた際に、ポロッと言われた言葉が耳に残っています。

「近頃の若い子たちはかわいそうだ。先輩に付いて行って、現場での作業のすべてを目にして理解していくという機会が本当に少ない」と。たしかにそうだろうなと私も思いました。

こうした現状を考えると、やはり早く保全基盤整備をしっかりと整えて、次のステップに向かっていただきたいなと思います。

遠隔にいながらあたかも同じ場所にいるかのような作業体験ができるXR(Extended Reality)と呼ばれる技術の導入を進め、しっかりと競争力をつけて未来に備えていただきたいですね。

 

山口: システムが健全な状態で使われていなければ、そこでIoTなどでセンシングしてデータを集めても「異常値の集まり」となってしまいます。それではA Iを使っても「健全な洞察」へとつながりません。まずはITとOT双方で、正しいあるべき姿を追うことをお勧めしたいです。

そしてエクサとしては、取り組みを共に進めていくパートナーとして、自信を持って選んでいただける存在であり続けたいですね。

 


 

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TEXT: 八木橋パチ

 

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