IBM Sustainability Software

[事例] ダウナー社 | 案件受注も増加! Enviziでサステナビリティー報告書を月次に

記事をシェアする:

 

ダウナーグループは、IBM Envizi ESG Suiteにより、ESGトラッキングの取り組みを標準化 & 一元化。サステナビリティーレポートを自動化しています。

業界を問わず、今や持続可能性に関する話を聞かない日はありません。おそらく、あなたのお勤め先も、温室効果ガス(GHG)排出量削減プログラムをすでに立ち上げたか、あるいは現在検討中ではありませんか?

しかし、GHG排出量削減プログラムは慎重に進めるべき取り組みです。まずは以下の質問に答えてみてください。

  • 計画は、本当に効果を発揮するものとなっていますか?
  • 計画によりもたらされる効果は、証明可能ですか?
  • 証明は「願望」ではなく、厳密な科学的データに裏打ちされていますか?

 
これらの疑問にしっかりと応えることができ、迫りくる気候変動に対して確かなインパクトを与えることに注力した結果、ダウナーグループは、事業運営方法を大掛かりに変更しました。

もくじ

ダウナーグループについて
ダウナー社は150年以上の歴史を持つ総合サービスプロバイダーで、従業員数は約33,000人。オーストラリアとニュージーランドを中心に、主に輸送、公共事業、施設管理などの都市生活基盤に関するサービスを提供しており、数百ものプロジェクトや常設施設を保有・運営しています。


300施設を一元管理

シドニーオペラハウスと周辺ウォーターフロント地区の300施設のGHG排出量と全体的なエネルギー消費量を、単一ダッシュボードでトラッキング。

脱炭素社会の実現に向けたパフォーマンス追跡

2032年までに業務上のGHG排出量(スコープ1および2)を50%以上削減(基準年2020年)するなどの、脱炭素目標のパフォーマンスをトラッキング。


 

「私たちが環境に関する持続可能性に焦点を当て始めたのは、2008年頃のことでした。そのとき、環境影響について真剣に考えるなら、サステナビリティー戦略こそが最も重要であるということに気づいたのです。サステナビリティー戦略は、総合的なビジネス戦略に組み込まれていなければならないのです。」

ダウナー社の環境・サステナビリティー・レポーティング担当グループ・ゼネラルマネージャーのリッキー・ブリッジ氏は当時をそう振り返ります。

 

それから現在に至るまで、ダウナー社はビジネスを大きく変化させました。2008年当時、同社は鉱業界で強い存在感を示しており、収益の約50%を石炭採掘が占めていました。

しかしその後、同社はより低資本でより低炭素を志向するサービスラインに注力し、現在では輸送、施設・設備管理、公益事業などがその中軸事業となっています。

 

この転換に伴い、ダウナー社はデータの取得とトラッキングを行うようになりました。特に注視していたのがGHG排出量に関連するデータです。

しかし、データ取得および調査・入力作業などは手作業に大きく依存しており、人員も費用負担も、そしてExcelも巨大なものとなっていました。「以前は、『私たちには、GHG排出量データ管理のための世界最大のExcelピボットテーブルがあります』、などと言っていたものです。でも、それが持続不可能で、早急になんとかしなければならないということは皆分かっていました。」

 

ブリッジ氏の言葉を受け、ダウナー社のグループ・サステナビリティー・マネージャー、ネイサン・ブログデン氏は言います。

「加えて、コンプライアンスも考慮しなければなりませんでした。オーストラリアには、国内温室効果ガス&エネルギー報告法(National Greenhouse Energy Reporting Act)という規制があり、関連する環境データを収集し、報告することが義務づけられているのです。

しかし、スプレッドシートから適切な情報を集めるのには手間も時間もかかり、多くの操作が必要でした。」

 

こうした状況に対し、ダウナー社は2017年、環境、社会、ガバナンス(ESG)の取り組みを統合管理する新たなプラットフォームを導入しました。

それが、現在「IBM Envizi ESG Suite」という名前で知られる、サステナビリティー支援ソリューションです。


Enviziのおかげで、科学的根拠に基づく目標を設定し、それに対するパフォーマンスを実際に追跡することができるのです。

ネイサン・ブログデン

ダウナー社 グループ・サステナビリティー・マネージャー


 

IBM Envizi ESG Suiteを導入したダウナー社は、業務上のGHG排出量を2032年までに50%未満に抑える(基準年2020年)など、脱炭素社会の実現に向けて意欲的な目標を掲げ始めています。

こうした大胆な目標が設定できるようになったのも、IBM Enviziのおかげだとブログデン氏は言います。

「Enviziのおかげで、自社が目標達成のために必要なエネルギー消費量、廃棄物、GHG排出量などのサステナビリティー・データを素早く正確に取得・管理することができるようになったことで、科学的根拠に基づく目標を設定し、それに対するパフォーマンスを実際に追跡することができるのです。」

 

また、レポーティングの自動化がもたらすメリットについても以下のように説明されています。

「合理化されたレポーティングシステムにより、多くの労力と時間が節約できています。Excelを使っていた場合の約半分ですね。

以前は、データ入力に数日、その前のデータ収集や、データの標準化や各種のレポートのカスタマイズに、さらに数日必要としていました。Enviziでは、それらはボタンを押すだけの作業です。」

 

「また、ダウナーグループ内では大きな組織変更が行われることもよくありますが、それも問題ありません。タイムリーに対応して実際のデータをベースラインとターゲットに反映させ、現在のGHG排出量のパフォーマンスを把握できます。

アジャイルなやり方でレポート作成ができるようになったので、レポート項目の追加リクエストが来ても、俊敏に対応できるようにもなりました。」ブログデン氏はそう語っています。

 

レポーティングが自動化されより簡素化されたことにより、同社はレポートの発行頻度を早めて月次とし、ライブデータ参照形式へと移行しました。

「異なるビジネスエリアの異なるデータソースをリンクさせられるので、さまざまな事業部からのデータを単一データウェアハウスのダッシュボードで確認できますし、単一データウェアハウスからさまざまな事業部用のダッシュボードにデータを表示させることもできます。」

 

ブログデン氏は説明を続けます。

「実のところ、GHG排出量の計算はとても複雑です。一連の外部要因を考慮し、収集した消費データに手作業でそれらを適用していくのは実際骨の折れる作業です。しかしEnviziを使用すれば、それらはすべて簡単な作業となります。

必要な情報を揃えた信頼性の高いサステナビリティーレポートを、市場や監査人に毎月開示できるのです。それも、排出量開示だけでなく、併せてその元となっている排出量計算方法も明確に示すことができます。」

 

「気候変動は、人類にとって最大の脅威です。ダウナーグループは、この脅威と、それに立ち向かう私たちの役割を非常に真剣に受け止めています。脅威を現実としてしまわないために、グループとして60人以上の環境専従スタッフを雇い、さまざまなビジネスユニットやプロジェクトサイトなどの現場に常駐してもらっています。

ブログデン氏はそう話すと、事業部と企業全体の役割についても言及しました。

「ダウナーグループは非常に自律分散した組織体で、事業分野それぞれが独自の環境と持続可能性に関するタッチポイントを有しています。ですから、財務KPIや排出量KPIといった組織全体の目標達成に合致する限りにおいて、各事業部門が独自のやり方を取れるようにしているのです。」

 

この分散独立性が、グループ全体として事業部門横断的な重要テーマが設定され、各事業部門はそれぞれの事業目標に最も適した脱炭素化戦略を策定し推進するという、同社の力強くユニークな脱炭素化計画の策定へとつながっています。

さらに、こうした事業部ごとの取り組みを支援するために、同社は2022年6月、脱炭素化ファンドグループを設立しました。ブログデン氏はこのユニークな取り組みをこう説明しています。

「排出量削減の取り組みは、比較的高額な初期費用がかかることがあります。現実には、従来の予算編成による配分金額では難しいこともあるものです。

でも、このファンドにより、グループ間で必要な資金を支援・提供し合いながら、共に脱炭素化目標の達成に向かうことができるのです。」


気候変動は、人類にとって最大の脅威です。ダウナーグループは、この脅威と、それに立ち向かう私たちの役割を非常に真剣に受け止めています。

ネイサン・ブログデン

ダウナー社 グループ・サステナビリティー・マネージャー


 

どの分野が大幅な排出量削減をもたらす可能性が高いかを特定するために、各事業部は独自のやり方でIBM Envizi ESG Suiteを使用し、排出傾向を分離・特定しています。

「何が私たちの排出量を増やしているのか? 技術的な側面から達成可能なことは何なのか? 使用燃料は何で、それが排出とどのように関係しているのか? —— こうした各事業部特有のさまざまな疑問に、最も状況をよく理解している自分たちで取り組むことができるのです」とブログデン氏は言います。

 

事業部のやり方とは対照的に、グループ全体を担当するサステナビリティー専従スタッフは、IBMのテクノロジーを使って予算要請を評価し、グループ全体の長期排出量削減目標の推進にどのプログラムが最も役立つかを判断します。

さらに、IBM Envizi ESG Suiteが提供するリアルタイム・トラッキングが、削減努力が予測通り結果へとつながっているかを常に示しているので、修正や変更の判断も行いやすくなっています。

 

「データとデータ管理がしっかりとしたものだからこそ、私たちグループ管理部門が社内から信頼されるのです。上級管理職やグループ全体の利害関係者たちが重要な意思決定を行う上で、データは欠かせないものとなっています。」ブリッジ氏はそう語ります。

 

レポートは、ダウナー社のサステナビリティーの目標達成を直接支援するものとなっています。毎月新たなレポートが発行されるたびに、ダウナー社は目標へと一歩近づくのです。

ブログデン氏は言います。

「Enviziは、データ異常の把握にもとても役立っています。データにおかしなところがあれば、何らかの報告ミスによるギャップや異常発生ではないかと確認することができます。

また、現在の数値を監査履歴と比較して、何が起こっているのかをより簡単に把握することができます。データ全体の健全性を担保するものとなっており、さまざまな面でサステナビリティーデータの信頼性が向上しました。」

 

正確な記録は、年次報告や監査にも役立っています。特に、何らかの変化が見られた場合にEnviziはその強みを発揮します。

「もし、監査人から、ある拠点において温室効果ガスが増加した理由を尋ねられた場合も、Enviziに記録されているデータから根本原因を迅速かつ明確に特定することができます。」

ブログデン氏はそう話すと、続けてダウナー社の今後の取り組みについて言及しました。

「私たちの次の挑戦は、スコープ3の排出量レポート作成です。Enviziで取得したデータを、脱炭素化の成果を上げているダウナーグループの鉄道部門などが業務レベルで収集しているデータと結びつけることで、興味深い機会が生まれることでしょう。」

 

ブログデン氏の言葉を受け、ブリッジ氏は続けてこう言います。

「IBM Enviziがもたらす効果とメリットは社内だけにとどまりません。契約や顧客の獲得にも大いに役立っています。

ESG(環境、社会、ガバナンス)の信頼度が低く、脱炭素化にも取り組んでいない企業は、顧客との関係を築くのが難しくなっているのです。特にオーストラリアやニュージーランドでは、融資を受ける際にサステナビリティーを証明することがとりわけ重要なのです。

今や、サステナビリティーはダウナーグループの受注理由のトップ3に入るのではないでしょうか。これらの活動をしていなければ、そもそも機会を得ることもできないでしょう。私たちが頻繁に仕事をさせていただいている政府関係の仕事は、とりわけそうです。」

 

当記事は、事例『Science-based sustainability needs reality-based reporting』を日本のお客様向けにリライトしたものです。


 

IBM Envizi ESG Suiteを利用してESG経営を加速し、ステークホルダーからの支持を高め、ビジネスの拡大へとつなげている企業が増えています。

製品・サービスについての詳細は下記にてご確認いただくか、お気軽にお問合せください。

 

製品・サービス

 

問い合わせ情報

 

関連記事

[事例] 多国籍EMS企業 セレスティカ社 | 製造業におけるESGの課題

[セミナーレポート] カーボンニュートラルで勝ち抜く! 「持続可能な製造業」を実現するサプライチェーン

持続可能性の成果を加速するために | 環境パフォーマンス管理最大手Envizi社買収が実現するもの


More IBM Sustainability Software stories

「第2回ベジロジサミット」レポート後編 | ベジロジシステム討論会

IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software

ベジロジ倉庫とベジロジトラック、そしてキャベツ食べ比べを中心にご紹介した「第2回ベジロジサミット」レポート前編に続き、ここからは第二部、場所を屋内に移して開催されたベジロジシステム討論会の様子をご紹介します。 目次 前編 ...続きを読む


「第2回ベジロジサミット」レポート前編 | レタスの食べ比べとベジロジ倉庫・トラック

IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software

「佐久地域は葉洋菜類の一大産地であり、産地の生産を守ることは日本の食を守ることです。主体的に取り組んでいきます。ただ、青果物の取り組みは特に困難な要素が多く、物流業界でも取り組みが進んでいない分野です。そんな中で、持ち前 ...続きを読む


日本Maximoユーザー会2024@天城ホームステッド 開催レポート

IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software

2024年10月15〜16日の2日間に渡り、IBM天城ホームステッドにて1年半ぶりの「日本Maximoユーザー会」が開催されました。   石油・化学企業、産業機械製造企業、エネルギー企業、エンターテインメント企 ...続きを読む