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AIとIoTで、設備資産管理を「周期基準対応」から「状態基準対応」へ

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安価なセンサー、低コストの通信、そしてクラウドコンピューティングの普及により、さまざまなモノ(Things)から莫大なデータが生みだされ発信され続けています(IoT: Internet of Things)。

歯ブラシのセンサーから日々の歯磨き習慣へのアドバイスが生みだされたり、エレベーターの運行データから運用管理に対して改善提案が生みだされたりと、日常生活で目につきやすいものからそうではないものまで、IoTは私たちの日常生活を支え、改善していくための基盤となっているのです。

 

そしてIoTが改善を起こし続けているのは、消費者向け技術や市場だけではありません。

産業用や公益事業向けにおいても同様で、工場などの大規模製造装置やガスタービン、電力会社の変圧器や輸送・流通インフラストラクチャなど、大型施設や機器の運用状況はリアルタイムにトラッキングされ、データとして刻々とソフトウェアへと送られています。

 

こうしてデータにより設備資産とソフトウェアがつながったことで、設備が期待されているどおりの働きを行なっているかどうかを、ビジネスリーダーたちは即座に確認できるようになりました。

さらに、ソフトウェアは機器や設備の状態を絶えずモニターして診断し、もし故障/障害リスクを予測した際には、最適な修理方法をリーダーに推奨してくれます。

従来の方法で行われていた保全や修理、部品交換が「周期基準対応中心」だったのに対し、「状態基準対応中心」へと変化させることで、保全コスト削減、故障リスク軽減、ダウンタイム最小化を実現し、企業はコストの観点から設備資産関連の意思決定を最適化することができるようになったのです。

 

ただ、すべての組織が、このように大きな利点をもたらすIoTデータを設備資産管理に全面的に活用できている訳ではありません。今もまだ、かさむコストと低い信頼性に苦労し続けている組織も多数存在しています。

ある推定によれば、全予防保全コストの40%近くが、本来は必要のない作業や資産に費やされてしまっているそうです。そしてその30%の活動は、頻繁に実行され過ぎているそうです。また別の推定によると、全予防保全時間の50〜70%が削減可能なものだと言われています。

こうした数値を見れば、資産管理や信頼性測定、保全計画に対してより優れたアプローチを取りたいと考えている資産集約型企業が多いことにも頷ける方が多いのではないでしょうか。

 

保全責任者や信頼性技術者、修理技術者がとりわけ大変なのは、さまざまな情報がそれぞれ異なる場所に異なるフォーマットで保管されているケースです。

数値が記載されたスプレッドシートがあちこちに散らばっていて、組織内の過去の知見がバラバラになってしまっていては、手動で確認や計算を行い修理や部品交換の判断を行わざるを得ません。実際のところ、こうした状況で最もふさわしい判断や効果的な決定を行うことは不可能に限りなく近いと言わざるを得ないでしょう。

設備資産管理を最適化するには、IoTでリアルタイムデータを取り込み、AIで分析して予知保全するという戦略的な取り組みが必要なのです。

 

すでにEAM(エンタープライズ・アセット・マネジメント: 企業資産管理)と呼ばれるシステムを導入し、予防保全という保全戦略で競争力を上げようとしている企業も少なくはありませんが、現在の激しい競争環境やコスト削減の要求に応えられるようにするには、それだけでは不十分な時代となっています。

EAMという基盤をIoTとAIで強化し、これまでの予防保全から予知保全へと戦略を進化させ、資産管理に関する意思決定を最適化し事業価値を最大化する必要があります。

それを実現するのがAPM(アセット・パフォーマンス・マネジメント: 資産パフォーマンス管理)と呼ばれるシステムでありテクノロジーです。

 

EAMとAPMのそれぞれの役割を分かりやすく書くと以下のようになります。

  • EAM: 設備・機器のライフサイクル管理を中心とした一元管理基盤システム。
  • APM: AIやIoTを活用した設備の状態診断や作業支援を行う意思決定最適化システム。

 

別の言い方をすれば、EAMが「保全作業実行支援」により周期基準の予防保全をするものであるのに対し、APMは「保全、修理、部品交換の意思決定支援」で、状態基準の予知保全を実現するものです。

APMはコストを下げ、リスクを減らし、回復力を向上させることで、設備資産のパフォーマンスを財政的な面からも最適化します。とりわけ保全責任者や信頼性技術者にとっては、資産の重要度と現在の状態、そしてダウンタイムにつながる可能性のある要因について多くの情報を与えてくれるものです。

 

EAMにAPMを加えることで、設備資産管理を別次元へと高めませんか?

資産管理に関する意思決定の最適化と事業価値の最大化に興味をお持ちのお客さまは、ぜひ、私たちWatson IoTまでご連絡ください。

 

問い合わせ情報

お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 にご連絡ください。

 

関連ソリューション: Maximo APM – 予測保守と資産パフォーマンス管理による機器運用の改善

 

関連記事: 「IDC MarketScape」調査で IBM Maximoがクラウド型のEAMアプリケーション分野のリーダーに!

関連記事: アトランタの都市交通を守るIBMのIoTとAI – APMが進化させる保全戦略

 


当記事は、How IBM is Applying AI to Improve Operational Asset Performanceを抄訳し、日本向けにリライトしたものです。

 

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