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IoTデータから最大の価値を引き出すために – IoTジャーニー4つのステップ

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ここ数年で企業のIoTの取り組みは格段の進歩を遂げました。とはいえ、道は平らでもなければ見通しがいいものでもなく、ときに想像もしていなかった障壁に出くわすこともままあります。

その道のりは「IoTジャーニー」と呼ぶに相応しいものでしょう。

今回は、その道のりを容易にし、組織にとってIoT の価値を最大にする4つのステップをご紹介します。

 

■ ステップ1 – データを収集する

IoTで「データ収集」というと、「何を当たり前のことを!」と思われる方も少なくないかもしれません。でも、もっとも大事でありながら、もっとも誤解や勘違いが発生しやすいところでもあるのがこのステップ1「データ収集」です。

IoTという言葉が世に出てきた頃は、多くの人が自宅の部屋の照明のオン/オフ制御を自分でセットできることに喜びや驚きを感じていました。

たしかに目新しく、おもしろいことです。でも照明のオン/オフ制御ができたとして果たしてどれだけビジネスに新しい価値をもたらすでしょうか?

 

だからこそ、ここで重要となるのはそこで取得されるIoTデータです。後述のステップでデータ不足が判明することもよく起こります。ビジネス価値を高めるために、デバイスからデータを実現可能な方法で取得することが重要なのです。

 

■ ステップ2 – データを整備する

テクノロジーの成熟が進むにつれ、ビジネスサイドの期待も高まっていきます。期待が過多になり過ぎときに要望や願望にまで行ってしまうこともありますが、やがて現実的な適用レベルに落ち着いて行きます。

IoTに関しては現在「現実レベル」、あるいは「適した社会実装レベル」に落ち着いてきているというのが現状と言えるでしょう。つまり、実際のビジネス現場で、本当の意味でメリットをもたらす事例がどんどん増えてきているということです。

 

ステップ1の部屋の照明のオン/オフ制御を、今度は大規模なスーパーやディスカウントストアなどの小売業で考えてみましょう。

「店内照明が自動制御されて点いたり消えたりする」 — たしかにそれはそれで便利ですが、それだけのために店内照明をすべてセンサー付き電球に変えるだけの必要性があるのかと問われれば…疑問が残るところです。

でも、そこで得られるデータに目を向けてみるとどうでしょうか。

例えば、そもそも天気のよい日には照明を点灯する必要すらないことが分かるかもしれません。あるいは、今よりも数十パーセント光量を落としても支障がない場所があるかもしれません。

取得したデータはそのまま放置するのではなく、パターンの可視化などを行い、データの規則性や他データとの関連性などを分析できるように活用できるデータとして整備するのが重要です。ひょっとしたら、照明の光量とセール商品の配置位置との関連性など、別の観点をデータが示すかもしれません。

 

こうなると、小売店の照明をセンサー付きのものに変更する意味合いが大きく変わります。消費エネルギー量の大幅な抑制による電気代の削減、そして売り上げ拡大のための施策づくり。本格的なビジネスへの適用を考えるべきです。

 

 

■ ステップ3 – 高度分析を行う

データが整備され、それが一定期間を越えて貯まってくると、そこから特定のパターンが見えてきます。視覚的に見えてくるパターンもあれば、直感的に分かるパターンもあるでしょう。

さらに、より高度な分析を行うことで判明するパターンも存在します。アナリティクスの出番です。

 

IoTの3番目のステップは、データからパターンや相関関係を見つけ出し予測を行います。そして潜在的な問題を洗い出し、予防的にリスクを回避する新しい方法を生みだします。

ここで、これまでのように例を使って考えてみましょう。今回は照明の点灯制御から離れて、工場の製造機械です。

その機械は、年に数回故障してしまい、修理には数週間を要します。関係者はこれまでの経験から、どうやらトルクが急上昇するとその数日後に壊れてしまうことが多いと感じています。ただし、それも毎回とは限らないようで、急上昇した後もまったく問題なく動き続けることもあります。

最近、工場内の環境をリアルタイムでモニタリングできるよう、いくつかの場所に温度センサーと湿度センサーを取り付けました。そしてあるとき、トルク急上昇の1-2時間前に湿度センサーが10%以上の変動を示した際にだけ、機械の故障に繋がることが判明しました。

このように複数の情報源からのデータを分析することで、複数要因の相関から問題を確実に予測できるようになれば、後はより積極的な対応策を講じて、ダウンタイムを短縮させて生産性を向上させることができます。

つまり、湿度計から上がってくるリアルタイムのIoTデバイスデータを、トルクコントロールに反映させれば良いのです。

 

■ ステップ4 – AIでビジネス価値を創造する

ステップ3の例で、データの有用性はお分りいただけたと思います。ただ、どんなデータも同じように有用というわけではありませんし、すべてのデータを残らず活用しようとするのは、現実的ではありません(データはすぐに莫大な量になります)。

 

ここで大きな役割を果たすのが、AIの一部である機械学習です。機械学習は、自社が持っている膨大なデータを整理・分析し、実際に重要なデータセットを見つけだし不要なデータを排除するのに大いに役立ちます。

AIを活用しつつプロセスを進めて行くことで、さらに高度な予測モデルや予知メンテナンスが実行できるようになるのです。

IoTデータを真の意味で活用し、新しい価値の創造をビジネスにもたらすのは、このAIを用いた実践のステップ4と言っても過言ではないでしょう。

 

■ 最後に – ジャーニーのお供に

道のりはいかがでしたか?

If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together(早く行きたいなら一人で行け。遠くまで行きたいなら仲間と行け) — 多くの方に引用されているアフリカの有名な諺です。

でも、IoTジャーニーにおいては、これはあてはまらないのではないでしょうか。早く行きたい場合も、遠くまで行きたい場合も、さらには早く遠くへ行きたい場合にも、頼りになる相棒がいた方がIoTジャーニーは実り多いものになるでしょう。

 

問い合わせ情報

お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 にご連絡ください。

 

 

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当記事は、Four steps to get the most value from your IoT dataを抄訳し、日本向けにリライトしたものです。

 

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