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データ分析者達の教訓 #07- 運用に耐える予測モデルを開発段階で現場と合意する

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皆さんこんにちは。IBM Data&AIでデータサイエンスTech Salesをしている斉藤明日香です。

このリレー連載ブログはSPSS Modelerの実際のユーザーで第一線で活躍するデータ分析者に、データ活用を進める上で忘れられない教訓をインタビュー形式で伺い、これからデータ分析に取り組む皆様に参考にしていただくことを目的にしています。

 

今回インタビューをお願いしたデータ分析者は

キリンホールディングスに所属され、現在出向先のファンケルのデータサイエンティストとして活躍されている真弓さんにインタビューをお願いしました。

 

 

 

真弓 裕貴 様

ファンケル株式会社
通販営業本部 営業企画部
デジタルマーケティングG

 

 

-日頃のデータ活用業務について教えてください

現在、通販営業本部 営業企画部に所属しデジタルマーケティンググループのデータサイエンティストとして

  • データ分析(AI/機械学習)を用いたお客様のターゲティングによる施策効率向上
  • データの可視化プロジェクトの支援
  • お客様に対するクリエイティブの改善

の3つからなるデータドリブンに基づいた活動をリードしています。

ファンケルは化粧品や健康食品など多種多様な商品を製造しお客様にお届けしています。販売チャネルは従来の通販に加え、アプリ・LINEまた全国に店舗展開しており

様々なタッチポイントでデータを用いたコミュニケーションの向上を目指しています。以前は見逃されていた保有データからもお客様に価値を還元できないか検討し日々試行錯誤しています。

 

-データ活用業務で味わった苦い経験を教えてください

以前に勤めていた製造業での話です。工場系のデータ活用業務を行っていた際に、ある設備に対してAIを用いた設備の異常予知システムを導入することになりました。

当時、異常予知システムは完全に異常だけを警報することは難しく、一定数ではありますが過剰に警報(過検出)を発報してしまうことがありました。

予測には誤差があるもので、モデルを作成した私の立場からは許容いただけると考えていましたが、誤報による通常業務への支障(対応時間の増加)を危惧された現場の作業員の方が、頑として実装を認めてくださいませんでした。

結果、何度も話しあい、モデルを見直して実装できたのですが大変な時間を費やしたのが苦い経験です。

 

-その苦い経験から得られた教訓はなんでしょうか

全体では十分な効果をもたらすと予測モデルが得られても(多くの異常を事前に検知)、わずかな誤報がもたらすリスクを重視し実装できない事情や経緯もあるのだと学びました。

この時以来、モデルをまず作るのではなく実際に現場に足を運び、誤差の許容と誤差への扱いについて予め合意した上で実装をイメージしたモデル開発をするようになりました。

当たり前ではありますが、実際に作業・運用される方とよく話し合い、データサイエンティストの要素の3つの柱であるビジネス、データサイエンス、データエンジニアリングでもビジネスをより理解した上で提案していくということを心掛けて、日々の業務を取り組んでいます。

 

-これからのデータ活用領域でのチャレンジについて教えてください

弊社では今年度よりデータドリブン思考を全社の行動指針に掲げています。

最終的なビジョンは、これまで蓄積されたお客様とのエンゲージを通じて、新たなインサイトを導き出し、それに紐づいたお客様へのご提案を社内の誰でも出来るようにしていけるようにしたいと考えています。

その道のりは長く険しいと覚悟はしていますが、確実にできることか1歩ずつ進め小さな成功事例を増やして展開できると良いと思っています。そこから社内へのデータ活用が普及することが私のチャレンジです。

 

インタビューのお礼と感想

真弓様、非常に興味深いお話をいただきありがとうございます。ぜひこれからもSPSSユーザーコミュニティにお力をお貸しくださいませ。

さて皆様、いかがでしたでしょうか?

実際にモデルを使って業務を改善される方と、事前にモデルの誤差の許容と誤差への扱いに合意することが大切というご経験談に食い入るように聞き入ってしまいました。私自身初心に返る思いです。また、社内へのデータ活用の普及のチャレンジもこれからの時代に必要なビジネス力を育てていきたいという思いを感じる素晴らしい取り組みだと思います。

 

次回は野村総研の塩崎さんに「データ分析にミスは付き物。大切なのは反省と次回への対策 」を伺います。

 

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→SPSS Modelerノードリファレンス(機能解説)はこちらから

→ SPSS Modeler 逆引きストリーム集(データ加工)

 

 

斉藤 明日香

日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部 データ・AI・オートメーション事業部
Data & AI 第一テクニカルセールス
  

 

 

 

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