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負荷テストでも大活躍!日本総研様がSMBCグループのDX推進基盤となるクラウドネイティブ環境をInstanaでパフォーマンス監視中
2022年03月08日
カテゴリー IBM Cloud Blog | IT部門向け | クラウド・アプリ構築 | クラウド管理
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「コンテナ技術などを用いて構築したクラウドネイティブな環境のアプリケーションのパフォーマンス監視をいかに行うか」──これはクラウドの活用を進める企業が必ず直面する課題の1つだと言えます。その解となるクラウドネイティブ環境のアプリケーション・パフォーマンス監視ツールとして「IBM Observability by Instana APM」を選ぶお客様が増えています。その1社が、三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMBCグループ)の総合情報サービス企業としてグループ各社のビジネスを支えている株式会社日本総合研究所様(以下、日本総研)です。SMBCグループがデジタル変革(DX)の中で社内外に提供する各種サービスのIT基盤「デジタルサービスプラットフォーム」の開発/運用を担う同社は、三井住友銀行が開発を進める温室効果ガス(GHG)排出量可視化サービス「Sustana(サスタナ)」などが稼働する同プラットフォーム上のアプリケーション・パフォーマンス監視ツールとしてInstanaを採用されました。それにより、効率的な監視を実現しただけでなく、開発時の負荷テストでも活用されています。同社はなぜInstanaを選んだのでしょうか?ご担当者に伺いました。
SMBCグループのDX推進基盤をパブリッククラウド上に構築
SMBCグループが推進するDXの中で社内外へ提供するデジタル・サービスやモバイル・アプリケーションの基盤となるデジタルサービスプラットフォーム。パブリッククラウド上に構築された同プラットフォームを運用しているのは、日本総研でSMBCグループ向けのシステムを管轄する部門として唯一、パブリッククラウド上のシステム開発/運用を担う組織として2019年に発足したDXシステム開発部です。
DXシステム開発部 次長の吉田 孝太郎氏は、デジタルサービスプラットフォームをパブリッククラウド上に構築した理由を次のように説明します。
「金融機関はオンプレミスに膨大なシステム資産を抱えていますが、それらの運用保守には莫大なコストがかかり、DX推進のための新たなチャレンジへの投資余力を削がれてしまうという問題があります。そのような技術負債を作らずにITを活用していくためには、全てのIT環境を外部のサービスで調達していくというスタイルに変えていかなければなりません。その考えの下、DX基盤としてパブリッククラウドの活用に力を入れています。クラウドのイノベーティブな技術を取り込み、それを使いこなす新たなメンバーを組織に迎えることで、新しい考え方を生み出し、これまでにない効率的かつスピーディーな開発や運用を実現していこうという狙いもあります」(吉田氏)
AWS上のコンテナ環境で動くWebアプリケーションの監視が大きな課題に
デジタルサービスプラットフォームでは現在、Webアプリケーション用の環境としてAmazon Web Services(AWS)上でコンテナ・サービス「Red Hat OpenShift Dedicated」を、モバイル・アプリケーション用の環境としてGoogle Cloud Platform(GCP)上でFirebaseを利用しています。
コンテナ環境としてRed Hat OpenShift Dedicatedを採用した理由は、「コンテナ環境の構築や管理の負担を減らすため」だとDXシステム開発部 部長代理の林﨑 誠氏は説明します。
「社内にコンテナ技術のスキルを持つ人材がまだ少ないため、自社で一からコンテナ環境を作って運用していくのは難しいと考え、Red Hat OpenShift Dedicatedを採用しました。Red Hatがインフラ部分を管理してくれるので、私たちはアプリケーションの開発や運用に注力することができます」(林﨑氏)
一方、デジタルサービスプラットフォームの立ち上げに際して大きな課題となったのが、AWS上のコンテナ環境で動作するWebアプリケーションの運用監視でした。それまで日本総研が運用してきたオンプレミスのシステムとは異なり、コンテナ技術などを使ったクラウドネイティブなアプリケーションは開発からローンチまでの期間が数カ月と短く、その間に開発、テスト、リリースまでの作業をスピーディーに行います。
「従来のシステムは監視設定を行うだけでも多くの時間がかかり、監視ツールに設定するパラメーター値を決めて運用管理部門に申請し、間違いなくログが取得できるか、エラー時に発報されるかをテストで確認した後、1カ月に一度の更新タイミングで運用に組み込んでもらっていました。それと比べると、クラウドの世界はスピード感が全く異なります」(林﨑氏)
これまでとは監視対象も異なります。レガシーなシステムの監視ツールでは、主にリソース使用量やエラー・メッセージ、プロセスが正常に動作しているかといったことを監視しますが、「クラウドではサービスの稼働状況やレスポンス性能など、アプリケーションの動作をより細かく見なければなりません」(吉田氏)。
日本総研は、このようなクラウドネイティブ環境に特有の監視に対応したツールの活用が必要だと考え、2020年4月よりソリューションの選定を開始します。
導入や監視設定が容易で競合ツールと比べて料金体系がシンプルなInstanaを採用
クラウドネイティブ対応のアプリケーション・パフォーマンス監視ツールの選定に際して、日本総研は次のような要件を掲げます。
- オンプレミス版のほかにSaaS版も提供され、自前のインフラが不要である
- コンテナ上のシステムの状況をわかりやすく可視化し、効率的に監視できる
- 監視対象インスタンスの追加などに簡単かつ迅速に対応できる
- 自動化などによって運用監視の工数を削減できる
- 導入が容易である
- 問題発生時には迅速あるいは自動的な対応を実現できる
「私たちの運用負担を軽減するために、自前のインフラや運用管理が不要なSaaS型のツールであることが必須でした」と吉田氏は振り返ります。
これらの要件を基に主要なツールを比較検討した末、日本総研は2020年6月にIBM Observability by Instana APMの採用を決めました。その理由の1つとして、林﨑氏は「導入の容易さ」を挙げます。
「プラットフォームの立ち上げ当初はクラウドに関する私たちの経験が浅いこともあり、簡単に導入できることが重要でした。Instanaは他のクラウド監視ツールと比べて導入が非常に容易だと感じました」(林﨑氏)
初期導入時のみならず、アプリケーションを新たに追加した際の監視設定も簡単です。
「試しにInstanaを初めて触るメンバーだけでドキュメントを見ながら監視設定を行ってみました。と言っても、各ノードにエージェントを入れるためのYAMLを書くだけです。これも雛型ファイルの必要個所に記入するだけで済みました。このような簡単な設定を行うだけで、各アプリケーションがどのような順序でSQLを発行しているのか、SQLのどの部分でエラーが発生しているのかを詳細に把握できます。最初は『あの設定だけでここまで情報が取れるのか!』と驚きました」(林﨑氏)
料金体系がシンプルで、コストが抑えられることも魅力でした。CPUコアやメモリー単位で利用料金が設定されている他のツールとは異なり、Instanaはノード単位の課金方式を採用しているので、コストの算出も容易です。
「クラウドはリソースが安いため、ついメモリーやCPUをたくさん搭載しがちですが、監視ツールがリソース単位の課金だとそちらのライセンス料が膨らんで本末転倒となります。Instanaはその心配がないことも大きな利点だと感じました」と吉田氏は話します。
こうしてInstanaの採用を決めた日本総研は、AWSのRed Hat OpenShift Dedicatedによるコンテナ環境を対象に2020年9月より導入を開始。デジタルサービスプラットフォームとともに同年12月より運用を開始しました。
効率的な運用監視を実現。開発時の負荷テストでボトルネック特定でも活用
デジタルサービスプラットフォームでは現在、企業の国内拠点におけるGHG排出量を可視化するサービスであるSustanaなどを運用しています。いずれもフロントエンド部とバックエンド部のそれぞれについて開発、テスト、ステージング、本番の4環境を持ち、全てのアプリケーションをInstanaで監視しています。
Instanaにより、複雑なクラウドネイティブ環境がわかりやすくリアルタイムに可視化されてコンポーネント間の関係性が容易に把握でき、監視画面をドリルダウンしていくことで問題の根本原因に素早くたどりつくことができます。トラブルシューティングが迅速化されるほか、監視によるオーバーヘッドが極めて低く、システムに負担がかからないことも利点です。「ユーザーがWebサイトにアクセスしてから出るまでのセッションの流れをしっかりと追える点もいいですね」と林﨑氏は話します。
Instanaは本番環境の監視だけでなく、アプリケーション開発時の負荷テストでも活躍しています。
「Sustanaは12月よりトライアル提供を予定しており、現在(2021年11月の取材時)はそれに向けて負荷テストを行っている最中ですが、そこでもInstanaを活用しています。負荷テストツールで大量のリクエストを発行して負荷をかけ、レスポンスが遅い場合はどこの処理で時間がかかっているのかをInstanaで確認するといった具合です。処理内容を時系列で追えるので、どこがボトルネックになっているのかがすぐにわかります。開発/テストを担当するエンジニアも『Instanaはすごく便利だ!』と喜んでいますよ」(林﨑氏)
デジタルサービスプラットフォームでは今後も新たなサービスの追加が計画されており、吉田氏は「それらのパフォーマンス監視を行うスタンダードなツールとしてInstanaを活用していきたい」と語ります。SMBCグループのDXを促進する同プラットフォームの安定稼働を、Instanaが支えていきます。
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