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間接業務におけるDX -BPOを通じた共創と変革の加速-

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吉崎 貴哉

吉崎 貴哉
日本アイ・ビー・エム株式会社
グローバル・ビジネス・サービス事業本部
コグニティブ・プロセス・サービス 事業企画
アソシエイト・パートナー

 

 

間接業務におけるDXの課題とBPO

今やDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進していない企業はないといっても過言ではありません。DXを推進する組織を立ち上げた、もしくは、既に具体的に様々な領域でのDXを進めているといった企業が殆どです。しかし、そういった中でも本社を中心とした間接業務にはまだ着手できていないという企業が多いのが現状です。

しかし、間接業務こそ、長年変革の手を着けておらず、従業員体験の向上や生産性の向上等の効果を創出できる可能性を多く秘めている領域といえます。

それでは、なぜ多くの企業が、間接業務のDXを進めることができていないのでしょうか。DXを推進できる人材の枯渇、DX推進組織を立ち上げるも、事業成長に直結する領域に注力せざるを得ない、常にコスト削減が求められており、DXのための投資が難しいといったことが主な理由です。

本当の意味でのDXには、テクノロジーの導入に加え、業務変革、組織・風土変革が必要となり、いくら推進組織を立ち上げても、本質的な組織や業務を変えることには長い時間を要します。道半ばで活動が消滅してしまうということも多くあります。そうならずに、確実に変革を成功させるには、変革の“起爆剤”が必要です。その変革の起爆剤の一つがBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)というサービスの活用になります。BPOと聞くと、人員削減のためというネガティブ印象を受ける方もいるかもしれませんが、DXを推進する有効な手段として捉えることができます。

間接業務のDXを進める難しさを、ここでは“4つの壁“として整理しています。

 

間接業務のDXを妨げる4つの壁とBPOの活用メリット

 

BPOを活用することで、これらの壁を乗り越えることが可能となります。BPOを活用することで、 BPOベンダーの中に、自社の業務を担う、自社を知り尽くし、テクノロジーの知見もあるメンバーが増えます。そのメンバーが、お客様と共に、変革の提案、そして、導入とそれにともなう業務変更、意識変革まで推進できるからです。

また、当然、DXの推進には投資が発生しますが、BPOによりコストの削減が可能となり、さらには、DXで得られた効果に伴って受託料を下げ、確実にコスト削減に貢献できることもメリットの1つといえます。

 

BPOを活用したDXの事例

BPOを活用したDXの事例は、以下をご覧ください。

花王ビジネスアソシエ株式会社

→“花王が進める経理DX。“インテリジェント・ワークフロー”で紙の請求処理から脱却”

 

今後求められるBPOサービスの進化

今後は、こういったBPO+DXというサービスがBPOの必要要件となっていきます。

従来のBPO vs 今後のBPO

 

単に低コストで安定した業務運用を担うだけでなく、いかにお客様とともに変革を推進できるか、しかも、他社にも適用している汎用的な効率化施策を適用するのではなく、そのお客様とともに新たなアイディアを生み出す“共創パートナー”となれるか、さらには、この変革の成果をいかにBPOサービスの一環としてコミットしたパートナーシップを結ぶことができるか、この信頼度がBPOサービスの大きな差となることでしょう。

そして、このBPO+共創パートナーの取組みは、従来の経理・人事といった領域だけでなく、昨今はSCMやCRMといった領域でも検討が進んでいます。さらには、特定業界やその企業固有の業務までも検討対象となっています。もはや領域・業務を問わない、法規制等により外部業者が実施することが許されない業務以外は全て対象と考えることが当たり前になりつつあります。

 

BPOを検討する際に意識すべきポイント

  • BPOは、コスト、人員削減を目的とした単なる外部委託ではなく、
    DXをともに推進するパートナーシップである

  • その意義は、自社の業務・組織風土、
    テクノロジーを熟知したパートナーとDXを推進できること

  • これまで主流の人事・経理領域に留まらず、業務領域問わず、
    その企業固有の“名もなき業務”までもBPOの活用が加速する

 

 

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