IBM Data and AI

データ活用の課題に対するIBMのアプローチ ~Think 2022 発表内容より~

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世界中のお客様や IBMのエコシステム・パートナーが集まり、デジタル世界において優れた成果を得るために、テクノロジーを組織としてどのように活用していくべきかについて議論する年次イベント「Think」が、2022年5月10日、11日に米国ボストンで開催されました。

その中から本記事では、データ活用に関する議題を中心に取り上げてご紹介いたします。

データ活用に向けたIBMのアプローチ

近年はCOVID-19をはじめ、予測困難な事態に対応しながらビジネスを拡大していくことが求められています。
IBM Global AI Adoption Index 2022によると、ビジネスにAIを活用していると回答した企業は35%で、2021年から4ポイント増加しており、想定外の事態に対処するための1つの方法として、AIが用いられていると考えられます。
しかし、AIを活用しようにも、元となるデータの無秩序な増加、多種多様な既存システムにより、最適なデータ活用が妨げてられております。
これらのことから、IBMは、データ活用を促進するために、お客様ユースケースに沿って4つのエントリーポイントを定義し、ソリューションをご提供しています。4つのエントリーポイントとは、

  • データ・ファブリック
  • カスタマーケア
  • データ・マネジメント
  • ビジネス・アナリティクス

です。
ここからはそれぞれの特徴と発表された内容についてご紹介いたします。

データ・ファブリック
データ・ファブリックとは、データの複雑さの課題を克服するために、組織全体でデータを物理的または仮想的に統合する、最新のデータ基盤アプローチです。
データ環境やプロセス、用途、場所に依存せず、データ検出、データ・ガバナンス、データ活用を自動化して、分析やAIに必要なビジネスに適したデータを提供いたします。

ユースケース毎の製品一覧

図1.4つのユースケースと対応する製品

Think 2022では、データ・ファブリックを実現する、4つのユースケースを発表しました。

  • Multi-cloud data integration
  • Customer360
  • Data governance and privacy
  • Trustworthy AI

IBMではそれぞれのユースケースに対応する製品を提供しており、お客様のデータ・ファブリックの実現をご支援しております。

カスタマーケア
デジタルネイティブ世代の社会進出やコロナ禍の状況により、急速に拡大しているデジタルチャネル運営の現場では、デジタルを用いた新たな顧客接点の創出を求められています。そして、企業内部では、これらデジタルへの理解や自社製品への高いスキルを要した人材が不足しております。
これらの課題を解決するために、バーチャルエージェントを用いる試みが急増しております。しかし、バーチャルエージェントに対応するチャネルの制限があることや、プログラミング技術が必要であること、回答精度が低いことなどバーチャルエージェントを利用することは容易ではありません。

Think 2022では、顧客があらゆるチャネルで迅速かつ簡単に課題を解決できるようなバーチャルエージェント、Watson Assistant(WA)を再設計し、より顧客との強い関係を築けるようになりました。
WAの特徴は大きく3点あります。

  • 自然現言語処理(NLP)機能を用いて、あらゆる言語に対応し、正確に意図を汲み取り、正確で簡潔な回答を見つけ出す
  • ビジネスドメインに自動的に適応
  • 直感的な操作、標準組込の機能による設定・展開

IBMは、再設計されたWAにより、顧客接点の創出を促すご支援をいたします。

図2. 返答の仕組み

 

データ・マネジメント
IBM Institute for Business Value(IBV)がOxford Economicsと協力して実施したグローバル調査(IBM Global Study on cloud transformation)によると、単一のプライベートクラウドまたはパブリッククラウドを使用しているとした回答者は2019年の29%から、2021年にはわずか3%に減少し、ハイブリッドクラウドが主要なITアーキテクチャーとして定着していることが明らかになりました。ベンダーロックインは自社のクラウド基盤のほとんどまたはすべてにおいて、パフォーマンス改善に対する重大な障害であると69%もの企業が回答しております。調査結果の全文(日本語版)はこちらをご参照ください。

IBMでは、お客様にとって最適なデータベースをご利用いただくために、どこでもアジリティに実行でき、高いコストパフォーマンスと生産性を向上させるデータ・マネージメント・ソリューションを扱っております。
また、データの一貫性と安全性を担保しつつ高いパフォーマンスとスケールを発揮するデータレイクハウスに力を入れていくことが発表されました。

図3. ビックデータの変遷

 

ビジネス・アナリティクス
全てのユーザーがAIや高度な分析、機械学習、予測的洞察を活用することで、組織として対応型から予測型へと変わっていき、生産性を向上させていくことができます。
しかし、特定のユーザーしかアクセスできないデータや分析が組織全体に分散しているため、データやコンテンツを十分に活用できないことが明らかになってきました。

これらの課題から、この度新しい製品としてIBM Analytics Content Hubが発表されました。
IBM Analytics Content Hubは、組織で利用できる全てのビジネス・アナリティクスをワンストップで提供するダッシュボードです。
データ分析・結果をチャート、ビジュアライゼーションを用いて可視化し、1つのダッシュボードとして表示することができます。
このことにより、情報を見逃したり、すでに利用可能な作業を再作成することなく、ユーザーの意思決定に役立つコンテンツを確実に表示します。
より詳細なIBM Analytics Content Hubの記事はこちらから

カスタマイズされたダッシュボード

図4. 自由にカスタマイズされたダッシュボード

問い合わせ情報

AIのためのデータ基盤に関するお問い合わせやご相談はこちらから、またはIBM の営業もしくはエキスパートまでご相談ください。
データ活用のはじめの一歩をスムーズにスタートし、確実な成果につなげていくために、是非こちらの記事も御覧ください。
コアソリューションであるIBM Cloud Pak for Dataを用いた事例の記事はこちらから、Think 2022全体のプレスリリース抄訳はこちらからご覧いただくことができます。

 

 

執筆者

丹羽 輝明
日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部
データ・AI・オートメーション事業部
Data & AI 第三テクニカルセールス

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