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データセンターが持続可能性の妨げになっていませんか?

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アプリケーションのリソース管理の自動化は、サステナビリティ実現に向けた取り組みの最初のステップです。

仕事に車で出勤し、駐車場に車を停め、ランチを食べに出かけるかもしれないからという理由だけで、一日中エンジンをかけたままにしておくことを想像してみてください。データセンターを管理する中で時々しか使わないアプリケーションを実行したままにしているのであれば、それは車の例と本質的に同じ話であり、お金とエネルギーを無駄にしていることになります。

データセンターは世界の電力使用量の1%を占めており、電力消費量は世界でも1、2位を争うほどのペースで急速に伸びています。さらに、世界中のほぼすべてのデータセンターは、大幅なオーバープロビジョニングの状態にあります。サーバーの平均使用率は、キャパシティーのわずか12~18%にとどまっています。この問題に対処するスマートな方法は、アプリケーションのリソース管理を自動化することです。これにより、アプリケーションのパフォーマンスが確保され、データセンターの使用率が向上するため、コストとエネルギー使用量を大幅に削減することができます。

 

アプリケーションのパフォーマンスが、サステナビリティーとグリーン・データセンターを実現する立役者に

現代のビジネスでは、アプリケーションがビジネスに直結しています。そのパフォーマンスを維持することは、成長を達成するための鍵となります。アプリケーション・リソース管理ソフトウェアは、アプリケーションのリソース使用率のすべての層を継続的に分析することで、アプリケーションの実行に必要な分のリソースを確保できるように作られています。これにより、パフォーマンスの質と信頼性が保証されるだけでなく、コストとエネルギーも節約されます。Barclays Equity Researchのレポート「Green Data Centers: Beyond Net Zero」によると、電力はデータセンターの総運用コストの70%を占めているとのことです。

産業界のエネルギー節約に向けた最大のチャンスの1つはサーバー使用率の向上である、とNational Resource Defense Councilは提言しています。サーバーの使用率を高めることで、電源を入れて冷却する必要があるサーバーの数が自然に減り、電力の節約につながります。

データセンターの電力消費を40%減らすと、年間460億kWhの節電になります。この数字は、米国ミシガン州で1年間に消費される電力量に相当します。ミシガンはフォードやクライスラー、ゼネラル・モーターズの本拠地であるだけでなく、ミシガン大学やミシガン州立大学、広大なGoogleキャンパスもあることを考えると、これは決して小さな数字ではありません。100,000平方フィートの施設でサーバー使用率を40%向上させると、コストをかけずに40,000平方フィート分の電力を新たに利用できるようになります。

 

すべてのデータセンターでアプリケーションのリソース管理を自動化すべき理由

アプリケーション・リソース管理ツールは、ソフトウェアを使用してアプリケーション・スタックを自動的に管理することで、パフォーマンス、コンプライアンス、コストをリアルタイムで最適化します。同時に、ビジネス上のあらゆる制約も管理します。

ビジネス・リーダーやIT部門のリーダーは、データセンターを足掛かりとして、サステナビリティやグリーン・コンピューティングに向けた取り組みを開始することができます。アプリケーションのリソース管理を自動化すれば、各アプリケーションの過度な使用を避け、最適なレベルで実行できるようにリソースを確保することが可能になります。しかし、ソフトウェア・ソリューションでは何を重視すべきでしょうか。鍵となるのが、以下の3つの能力です。

  • 最適化は実用的かつ継続的でなければなりません。
  • 自動化は信頼性が高くなければならず、パフォーマンスへのリスクと環境への影響を抑える必要があります。
  • ソリューションはハイブリッドクラウド環境でもマルチクラウド環境でも管理できる必要があります。

こちらのデータセンター・マネージャーは、パフォーマンスを犠牲にすることなく、環境に配慮した最新のデータセンターを運用する先駆的な取り組みを行っています。

 

大企業でなければアプリケーション・リソース管理ソフトウェアを利用できないということはない

2016年の初め、バミューダ警察(BPS)は、アプリケーションのパフォーマンス低下に対処するために、データセンター用に新しいハードウェアを購入する必要があるかもしれないと考えました。しかし予算の制約上、代替案を検討せざるを得ませんでした。

BPSのソリューション・プロバイダーであるGateway Systems Limitedは、IBM TurbonomicのOperations Manager(データセンター・リソースの仮想マーケットを作成し、アプリケーションの優先度に基づいてリソースを割り当てるソフトウェア)の助けを借りれば、BPSは仮想化環境をはるかに効果的かつ効率的に運用できるようになると確信していました。毎日数百におよぶワークロードの配置や、サイジングと容量の決定が自動化されるため、データセンターが正常な状態に保たれ、必要なホスト・サーバーのみが常にアクティブになります。

このソフトウェアは、パフォーマンスの低さという問題に対処できただけでなく、BPSの既存のホスト・サーバーを以前よりもずっと効果的に活用することができるようになりました。IBM Turbonomicは、新たに追加した412台の仮想マシンを実行できる量のサーバー・リソースを解放し、結果としてBPSは、計32個のCPUソケット(ホストの67%)を搭載した16台のCisco UCSブレード・サーバーの使用を中止して撤去することができました。その結果、VMWareライセンスの年間推定コスト11,600ドルを含め、関連するすべてのハードウェア保守コストとソフトウェア・ライセンスのコストを削減することができました。さらに、UPSの待機時間が12分から26分に増加するという、嬉しい副作用もありました。

CiscoのUCS Power Calculatorでは、サーバーの平均使用率を60%と仮定して、16台のホスト・サーバー(32ソケット)を削減した場合の直接的なエネルギー節約量を4,550ワットと計算しています。BPSの1 kWhあたりの電気料金は0.40ドルであるため、年間約16,000ドルを節約しているという計算になります。

 

すべてのデータセンターでIBM Turbonomicアプリケーション・リソース管理を実行すべき理由

IBM Turbonomicは、アプリケーションのパフォーマンスを確保しながら事業をサポートし、さらにコストとCO2排出量を削減することができます。その足掛かりとして、データセンターの最適化は理想的です。例えば、IBM Turbonomicは、仮想マシンの密度を高めることで、より少ないリソースで同レベルのパフォーマンスを実現できるため、顧客はホストの数を一時的に減らしたり、用途を変更したりすることが可能になります。クラウドへの移行が進んでいるのならば、オンプレミスのワークロードをクラウドに安全に移行し、クラウドの消費を継続的に最適化することで、CO2排出量を削減できます。

Forresterは、IBM Turbonomic Application Resource ManagementのTotal Economic Impact調査結果において、顧客がインフラ使用率を75%改善し、インフラの成長に必要な支出を70%削減することができたとまとめています。Forresterはまた、データセンターやパブリッククラウドでアプリケーション・リソースの消費を最適化することで、組織の長期的なエネルギー消費プロファイルが向上し、サステナブルな環境作りに貢献することになるとも述べています。IBM Turbonomicを利用中のお客様は、ROIが471%にもなる投資回収を6カ月以内で実現しています。

 

まとめ

カーボン・ニュートラルとアプリケーション・パフォーマンスとの間で妥協する必要はありません。アプリケーションが実行に必要な分だけのリソースを消費すれば、コスト・カットとCO2排出量の大幅な削減を、即座に、かつ継続的に実現していくことが可能になります。


IT Automation、プリンシパル・プロダクト・マネージャー

クリス・ザロウミス(Chris Zaloumis)

IT Automation、プリンシパル・プロダクト・マネージャー


この投稿は2022年6月7日に米国Cloud Blogに掲載された記事 (英語) の抄訳です。

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