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ニューノーマル時代の営業変革の処方箋 ‐ 行動データ×営業プロセスの可視化で営業変革の実践 ‐【前編】

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企業は、業務改善、コスト削減やDXの推進といった様々な問題解決の取り組みを行っていますが、期待される効果は出ているでしょうか?

新型コロナウイルス(COVID-19)は、私たちの生活とビジネスのあり方に大きな変革をもたらしました。営業プロセスにおいても、非対面営業へのシフトが進み、デジタル・テクノロジーが重要な役割を果たすようになっています。

この記事では、企業にとって最重要テーマの一つである、「売上伸長・シェア拡大」のための変革における、オペレーショナル・データ(行動データ)とイベント・ログ活用について考えてみたいと思います。

<目次>

-【前編】 -

  1. 長年の課題・営業変革の難しさ
  2. プロセス・マイニングとAIテクノロジーの活用
  3. 今までにないデジタル・データ活用に向けて

    -【後編】 -

  4. コミュニケーションのデジタル化による効果
  5. 非対面営業の可視化によるサービス・デザインの変革
  6. まずはご相談を

私が勤めていた企業でも20年前に社内にSFA/CRMシステムが導入されました。この20年間に顧客と営業を取り巻く環境は変化しており、単にモノを売るだけの時代からソリューションやサービスを売る時代へと変わり、商材が複雑になっています。

システム導入検討の際には、営業担当者にヒアリングし営業スキルの可視化を試みますが、複雑な営業プロセス、俗人化したスキルを可視化するのは容易ではありません。これまで時代の変化に応じて何度となく営業変革を掲げ、SFA/CRMツールの導入を繰り返してきましたが、営業現場が疲弊するだけで、期待される成果に必ずしも結びついていないのではないでしょうか。ある調査ではSFA/CRM導入した企業の約80%は失敗しているというデータがあります。

また、私が営業部門でマネージャーをしていた時に、案件管理と数値管理、行動管理に多くの時間が取られました。特に営業活動は日報管理をするシステムがあり、こんなことをした、あんなことをした、顧客反応はこうだった、と毎日営業の方々の活躍が報告されてきます。しかし、すべての営業のすべての顧客のこの案件、あの案件、その案件を数日前の報告経緯と関連付けて把握するのはかなりのリソースが必要です。

さらに、報告で記載されている内容が事実なのか?を確認する事は時間コスト的に不可能でした。故に案件管理が緩み、数値管理が緩む・・・悪循環です。

商材が複雑になり、売り方も、商流も、営業チャネルも変化・多様化する中で、顧客の求めるニーズに対して社内プロセスがキャッチアップ出来ていないからではないでしょうか。営業組織やプロセス変革を伴わない営業支援ツール導入は失敗する確率が高くなります。

いつ、誰が、どの顧客に対して業務の何処でどの様な条件で課題発生するのか?を定量的に整理できていますか? 営業変革の第一歩は可視化です。

IBMプロセス・マイニングはデジタル化されたログ・データを基に問題の可視化と営業パターン分析を行います。これは営業担当者に対するヒアリングによる仮説や憶測ではなくファクトベースでのアプローチとなりますので、噓偽りの無いありのままの現実、営業プロセスの全体を可視化することが可能です。営業組織のデジタルツインの実現です。

また、流行りの対話型AIに衝撃を受けた方も多いと思いますが、皆さん、業務で使っていらっしゃいますか?

私は、この対話型AIを使っていて疑問に感じた事がありました。
それは、仕事中にあることを調べたかったので、今流行っている対話型AIに質問しました。
何度かキーワードを変更しながら実行して素敵な回答に辿りついたので参考にしようとしましたが、操作ミスで同じ質問を再度検索したところ、なんと回答が前回と異なりました。
そうです、まさかの人間と同じく回答にゆらぎがあるのです。

この対話型AIサービスを、参考ネタや気付きで利用するなら問題は無さそうでが、ビジネスで使う場合、何故、その様な回答になったのか? 説明ができなければなりません。
AIシステムは透明で説明可能でなければ、企業の信頼問題に直結するリスクやビジネスへの悪影響が懸念されます。

私が、AIの活用で気になった点が3つあります。
1点目は、業務でAIを使う時に、個人が何を知りたくて調べたのか?何をキーワードとして調べたのか? そうです、AIの属人化が生まれてきそうです。

2点目は、解決した場合、解決しなかった場合の結果は蓄積されているか?
そうです、AIの回答のナレッジが残っていないのです。

3点目は、業務のどのタイミングで調べたのか?
そうです、AI利用と業務問題との関連付けが出来ていないのです。

AIを使っても人のゆらぎが残り、更にはナレッジが蓄積されず、業務のどのタイミングで役立つか蓄積されない。

ならば、AIを使う人を教育するか!?
AIを使う人の手順書をつくるか!?

人が思いついたキーワードを入力する限り、結果は異なります。(同じキーワードでも結果にゆらぎがあるAIは論外ですが・・・)と言う事は結果が人に依存します。

キーワードを人が入力した文字列ではなく、プロセス・マイニングが使う業務データにするとどうなるでしょうか?
ゆらぎの出る入力した文字列から業務的に整理された属性に整理出来ます。
また、学習データによりAIスキルとして管理すれば、業務シーンにあわせた業務ナレッジを蓄積する事も可能となります。

そして、有益な属性と判定値がビジネスのどのシーンで何時誰に必要なのか?プロセス・マイニングの結果からダッシュボード等で営業担当者へ先制的に伝達する事により、優秀な営業のスキルを活かして営業成績の向上、営業の自動化も夢ではありません。

企業は、”AI価値創造者(Value Creator)”となり、自社の競争力強化にAIを積極活用することが求められる時代です。この際に、ノウハウ・スキルを可視化するIBMプロセス・マイニングを活用することをお勧めします。

ここまでの記載でプロセス・マイニングの有用性については言及してきましたが、既存のデータ(システム・ログ)だけでは効果的な業務改善には至らないことが多々あります。
後編では、現状では不足しているデジタル・データの取得と活用方法について記載し、営業プロセスの革新的な改善に迫ります。

後編へ

 

大木 将利

大木 将利

株式会社アセットコンサルティングフォース
取締役
アセットコンサルティングフォースは人、「プロセス」「人」「データ」に着目し、人の行動+業務の流れ+データの利活用と最適化で、デジタル変革を支援しています。


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