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新しい建設サプライチェーンの幕開け  〜ハイブリッドクラウドテクノロジーによる革新的アプローチ〜

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過去20年、デジタルテクノロジーはあらゆる産業において、生産性向上、イノベーション、エコシステムのコラボレーションを活性化してきました。

建設業界は、世界においても、日本においても、最大の産業の一つですが、他産業が大幅な生産性向上を達成している一方で、建築業界はわずかな成長にとどまっており、大きな生産性ギャップとなっています。

BIMやロボットをはじめとするテクノロジーの進展は、建設業界の生産性向上に大きく寄与するものとして期待されてきましたが、その成果をより高め、抜本的に生産性を改善する重要なキーは、建設業界の構造的な側面に存在しています。

建設プロジェクトには、設計事務所、建設会社、資材メーカーをはじめ、実に多くの企業が関与します。それぞれが多くのソフトウェアやソリューションを利用しています。このような建設サプライチェーンにおいては、データ構造が異なる多数のソフトウェア、ソリューション間で、数多くのメディアやフォーマットを介した、膨大なやり取りが必要となります。

こうしたデータやサービスの断片化とその接合作業によって、企業や業務の接合点において、ミスや作業の停滞、規制要件の欠落といった、非効率やコンプライアンスリスクが生じます。従来は力技で対応するしかなく、建設業界は時間やコストの超過などに永らく悩まされてきました。

この課題に立ち向かうには、様々なデータやサービスの接続を可能とする、統合プラットフォームが必要です。様々なプレイヤーが、自らのデータやサービスを統合プラットフォームに接続することで、生産性の高い建設サプライチェーンを作り出すという発想です。

図1:OpenBuiltが実現する新しい建設サプライチェーン図1:OpenBuiltが実現する新しい建設サプライチェーン

このような統合プラットフォームの概念そのものは新しいものではなく、標準化といった視点でアプローチがなされてきました。標準化とは、そもそもの相違をなくすアプローチで、参加者全員が従うことでその目的を達成します。環境も変化する中で、業界全体に標準化を浸透・定着させることは困難であり、冒頭の生産性ギャップが解消されないまま、今日に至っています。

では、標準化することなく、様々なデータやサービスの独自性を持ったまま、データやサービスを相互に接続できればどうでしょうか。データやサービスの独自性を、プラットフォームが勝手に解消してくれるなら、それは実現性の高い課題解決アプローチになるはずです。各プレイヤーは、プラットフォームに参加するだけで、厄介な問題を解消できるからです。

IBM OpenShiftが、この可能性を切り開きます。IBM OpenShiftを基盤とした統合プラットフォームであるOpenBuiltは、様々なプレイヤーのデータやサービスの独自性を維持しつつ、相互に接続できる世界の実現を目指しています。
OpenBuiltにより、ユーザーは、多くの業界ソフトウェア、サービスへアクセスし、直感的なドラッグ&ドロップにより、インテリジェント・ワークフローを構築できるようになります。OpenBuiltは、この相互接続によって、BIMをはじめとするソリューションの優位性を最大限に引き出し、建設業界の抜本的な生産性向上に寄与します。

図2:OpenBuiltが作り出す業界横断Eco System図2:OpenBuiltが作り出す業界横断Eco System

OpenBuiltの開発は、業界コンソーシアムが独立企業を設立して推進しています。CEMEX、EDIN Network、AS Backe、Sol Services、Element Materials Technologyがプラットフォーム開発のオーナーとなり、創設パートナーとして調印しています。IBM、Red Hat、Cobuilderがテクノロジーとサービスを提供することでプラットフォーム構築をリードしています。

CEMEX CEO フェルナンド・A・ゴンザレス氏
「このコラボレーションは、生産性の向上を可能にして、当社のお客様の満足度を向上させる新たな機会を切り開くことになる、戦略的イニシアチブです。私たちは引き続き、主要パートナーのサポートを得て業界のデジタル・トランスフォーメーションを主導し、パートナーの専門知識、イノベーション、および先進のITサービスを活用して、革新的なソリューションをお届けしていきます」

EDIN Network 創設者 フィリップ・ハルト氏
「私たちは、OpenBuiltによって相互運用性が推進され、データ交換が容易になり、企業が複雑な特注ソフトウェアの開発を必要とすることなくプロセスを自動化できるようになると確信しています。メンバー企業は、ゼロからスタートする必要なく、自社のデータを掌握し、そうしたデータを収益化し、新たな方法で顧客を関与させるための、新しい方法を探究できるようになります。私たちは、来たるべき変革の時代とその形成における自分たちの中心的役割に、信じられないくらい興奮しています」

Sol Services ディレクター ナイジェル・バーデット氏
「私たちは機会を見出し、建設業界をまとめ上げるためのテクノロジー・プラットフォームの必要性を認識しました。そしてこのプロジェクトの開発に関与している組織とともに、私はそれが将来に向けた建設業界の方向性になるという絶対的な確信を持っています」

Backe CEO アイリック・ジェルスビック氏
「OpenBuiltプラットフォームにより、サプライヤーやパートナー間のコラボレーションが容易になり、生産性が向上し、またバリュー・チェーン全体に沿ったカーボン・フットプリントに対する来たるべき規制の遵守が容易になるでしょう。新型コロナウイルス感染症の影響による市場の不確実性によって、業界におけるバックログが影響を受けています。今後は、デジタル化とよりスマートな働き方が、コスト効率やサステナビリティーの確保はもとより、従業員候補者の間における魅力の確実な実現のためにも鍵になるでしょう」

Element Materials Technology CEO ジョ・ヴェッツ氏
「OpenBuiltにより、建物のライフサイクルに関与するすべての利害関係者に対する透明性の向上が可能になり、構築環境に対するサービスの調達における信頼性が向上し、また材料や製品のテストおよび認定が当該部門のデジタル・トランスフォーメーションの中心となることが確実になるでしょう」

OpenBuiltイニシアチブに参加して、新しい建設業界の未来を一緒に作りませんか。

参考資料:

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