社員が語る「キャリアとIBM」

半導体・エレクトロニクス業界のお客様との信頼関係を、繋いでいく

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社員が語る「キャリアとIBM」では、社員のキャリアや仕事内容をインタビュー形式でご紹介します。

今回は、日本アイ・ビー・エムデジタルサービス(IJDS)のK.H.さんのインタビューをお届けします。

Q.現在の所属部署と入社時期を教えてください。

IJDSのデジタル事業部、インダストリアルソリューション本部(ISD)のシニアアーキテクトです。入社は1996年です。滋賀県の野洲工場で、社内システムを管理する部署に配属になりました。

Q.野洲工場は、何を作っていた工場ですか?

半導体や、それを実装する基板、汎用機を作っていました。一つの工場で、半導体から最終製品まで、全部できるのが売りの工場でした。

Q.入社当時の職種を教えてください。

ITスペシャリストとして、工場内の社内システム、特に今のSiViewに繋がる工程管理システムの開発保守を担当していました。当時は自動的にプログラムを配布する仕組みがなく、工場内に配置されたPCのところにフロッピーディスクを持って行き、プログラムを更新したり、古くなったPCを交換して廃棄場に運ぶことも担当しました。

Q.今までのキャリアで印象に残っているプロジェクトを教えてください。

1つ目は、SiViewの姉妹製品(AsmView)を、リーダーとしてデリバリーしたプロジェクトです。私たちの部門で開発したシステムが、IBMグローバルの、半導体部門の全社標準システムとして採用されることが決まり、私は日本チームのリーダーとして導入を進めました。最初はシンガポールに、次いでアメリカ、アイルランド、カナダの工場へ導入していきました。数年がかりのこのプロジェクトを通じて、要件定義から設計、開発、導入、保守に至る一通りのライフサイクルを経験し、ITエンジニアとしての基礎を学ぶことができました。

サプライチェーンマネージメント(SCM)システム構築プロジェクトに、各工程を繋ぐ統合工程管理チームのリーダーとして参画したプロジェクトも印象に残っています。それまでのお客様は製造の現場が中心でしたが、生産計画や管理会計など、周辺にある幅広い業務が関係するシステムの開発は、アーキテクトとしての活動を意識し始めるきっかけとなりました。アーキテクチャーはどう考えるべきか、どのようにお客様にご説明するべきか、アーキテクト教育で学んだ責務や考え方を実践し、取り組んだプロジェクトです。また、初めてコンサルタントの方と仕事をしたのですが、優秀な方が多く、考え方やお客様とのやり取り等、学ぶ機会が多いプロジェクトでもありました。

他には、複数の工場を買収し、企業文化や考え方が異なるところに、AsmViewを中心とする生産管理システムを展開していったお客様のプロジェクトも印象に残っています。様々な課題がありましたが、お客様と1つ1つ解決していき、導入を進めました。アーキテクトとしての考え方を実践したプロジェクトでもありました。

Q.現在の仕事内容、役割マップ*を見ながら解説ください。

*役割マップ
=「社員が何を行なっているのか」「誰と仕事をしているのか」「期待の大きさ」を視覚化したもの

役割マップに記載した、上の3つが中心です。どの活動に時間を費やしているかは状況により異なります。

1つ目の役割は、半導体、エレクトロニクス業界のお客様への提案活動に関わるものです。提案の中心は、IBMのSiViewやAsmViewになります。

2つ目の役割は、デリバリーに関わるものです。お客様の工場にSiViewを導入する、あるいは既存システムをリニューアルするプロジェクトに関わっています。役割としては、アーキテクチャーの設計やプロジェクト管理が中心になります。

また、私は、組織のマネージャーを担当していますので、メンバーの育成やキャリアの相談、エンゲージメントを高める活動も大事な仕事と考えています。

Q.半導体業界のお客様の課題感を教えてください。

半導体業界のお客様は、積極的に投資を行い、半導体の需要の増加に応えようとされています。ですが、それには莫大な費用が掛かります。1つのラインを作るのに数千億円、時に一兆円を超える規模の投資が必要になってきます。その中でお客様にとって大事な点は、いかに早くラインを立ち上げ、製品をタイムリーに市場に出し、利益に繋げ、投資を回収するかという点です。

Q.SiViewの果たしている役割を教えてください。

半導体の製造工程は、数百の工程と数ヶ月の期間を要します。工場の建屋の中では、1台数千万〜数十億円する生産設備が数百台稼働しています。製品の完成まで、どのような工程を辿り、どのような装置を使い、どのようなレシピで製造するか。今時点で、どこまで製造は進捗していて、どのくらいできあがっているのか。次工程として、製品をどこに搬送すべきか。それら全てを、お客様は、私たちが提供しているSiViewで管理し、全自動生産を実現しています。

Q.なぜ、お客様はSiViewを選んでくださるのでしょうか?

SiViewは、半導体製造で必要とされる多くの業務ロジックを予め実装しており、それにより導入から立ち上げまでの期間が短いというのが1つの特徴です。また、24時間365日安定稼働を支える、止まらないシステムを構築するノウハウも、ご評価いただいている点です。

Q.SiViewのデリバリーでは、何を行うのですか?

お客様の要件にあわせて、SiViewを中心とした生産システムを構築します。

SiViewは、標準パッケージとしてのソフトウェアがありますが、実際にお客様にお届けする際は、インフラ構築が必要ですし、お客様の業務やご要望に合わせたカスタマイズや、周辺システムとのインテグレーションが必要になってきます。SiView単体で動かすことは稀で、他のシステムから情報をもらってきて、SiViewに取り込む、あるいはSiViewの中に蓄積した情報を他のシステムに繋ぐこともあります。

Q.お客様は、どのような点をご評価くださっているのでしょうか?

IBM野洲工場で仕事をしていた先人の方々は、自分たちの工場を動かしてきた時代から、困難な状況に直面しても逃げずに、諦めずに、お客様の立場に立って物事を考え、解決策を見出してきました。困難なトラブルを解決し、大変なプロジェクトをやりきってきたからこそ、お客様と信頼を構築することができたのだと思います。そういった考え方や取り組みは、今に受け継がれてきましたし、そこがお客様にご評価いただいてきた点だと思います。

Q.どのような方がチームにいるのか、雰囲気と合わせて教えてください。

長年、SiViewをデリバリーしてきたメンバーだけではなく、若手や、キャリア採用で入社した方も増えてきました。
私たちの組織は、新しく入ってきた方の成長に貢献しようというモチベーションをみんなが持っているチームです。野洲工場出身の先輩方をはじめとして、知見やノウハウを次の世代に繋いでいきたいという思いを持ったメンバーがたくさんいます。志高く、色々なことを吸収したいという方には、周りがサポートを惜しまないカルチャーがあります。

Q.IJDSでのキャリアを考えている方にメッセージをお願いします。

IBMグループは、百貨店のようなイメージです。探せば、なんでもあり、困っていることがあっても、どこかに知っている人がいます。いろいろな知見や、知識を持っている人が、どこかにいます。自分が成長したいと思えば、どこかにその機会があります。探せば、様々な選択肢があります。自由度が高い会社ですので、一つの仕事に何年か携わった後に違うことをやりたいと思ったら、その選択肢も見つけられる会社だと思います。

Q.IJDSでのキャリアを通じて、成し遂げたいことを教えてください。

私の学生時代や、入社した頃は、インターネットの黎明期でした。インターネットはまだあまり世の中で使われておらず、研究者間での利用から、商用利用が始まったところ、という時代です。ネットの回線は遅く、初期のブラウザが出回り始めたころでもあります。

最近は、AIの進化で、働き方やシステムのあり方が変わっていきそうだという漠然とした思いがあります。インターネットの黎明期に似ています。また再び、社会が変わる場面に立ち会えるかもしれないと思うと、ワクワクしてきます。工場を動かす仕組みにAIを活用することで、より自律的に、効率よく、AIが考え、指示を出す仕組みができるかもしれません。今までは人が考えて判断していた、生産業務における様々な場面にAIを活用していくことで、工場は、より進化していくかもしれません。道のりはまだ長いかもしれませんが、当事者として関わり、今後のキャリアも楽しんでいきたいと思います。


根本 亮
インタビュー・執筆:根本 亮
Japan Employer Branding Manager
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