社員が語る「キャリアとIBM」

AIとデータを使い、日本のお客様のデジタル化を

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社員が語る「キャリアとIBM」では、IBM社員のキャリアや仕事内容をインタビュー形式でご紹介します。
今回は、IBMコンサルティング事業本部のAI Transformationチームのマネージャー、K.H.さんのインタビューです。

Q.現在の所属部署と入社時期を教えてください。

2005年に新卒で日本IBMに入社しました。
現在はIBMコンサルティング事業本部のDTTという組織の中にある、AI Transformationチームのマネージャーを務めています。

Q.新卒時にIBMを選んだ理由を教えてください。

正直、何か具体的にやりたいことがあったわけではなく、また、IBMのことをよく知っていたかというと、そうではありませんでした。

IBMに対しては「PCを世界に広げた会社」「システム業界のリーディングカンパニーとして、非常に優秀な人がいる会社」というイメージを持っていました。そのような環境で揉まれたいというのが決め手となり、入社を決意しました。

Q.これまでのキャリアを教えてください。

入社当初の職種はITスペシャリストです。入社してすぐ、流通業のお客様を担当する組織に配属になりました。そこでは主に基盤の導入、更改のプロジェクトの経験を積みました。これからシステムを作っていく際に、インフラを知っておくことが必要なのではと思い、希望を出し、インフラ寄りのプロジェクトにアサインをしてもらいました。ネットワークの線を繋ぐ、サーバーの機器を搬入するといった仕事も経験しました。

2010年頃に、新しい組織が立ち上がったのを機に、異動をしました。データウェアハウスやデータマート、BIの構築といったデータに関連したサービスを提供する組織です。その組織では、大規模なデータプラットフォームの案件を担当しました。

さらに数年後、Watsonが出てきたのに伴い、AIの案件にも関わるようになりました。主に化学業界、石油業界、鉄鋼業界のお客様を担当する部門と共同で案件の創出から提案、デリバリーまでを担当しました。

入社以来17-8年経ちます。この間、ITスペシャリストから始まり、プロジェクトマネージャー、コンサルタントと職種を変えてきました。

Q.何がきっかけで、キャリアを変えてきたのですか?

いくつかありますが、自分が向いている職種は何か、という考え方は常に持ってきました。

ITスペシャリストとして入社した際も、自分がIBMという会社で、何を優先することで活躍が出来るのかを考えてきました。IBMには技術的に優れている人がたくさんいます。様々なパートナー様とも仕事をします。そのような方々と仕事をする上で、技術一辺倒ではない道があるのでは、と考えました。例えばマネジメントや、コンサルタントのように、エンジニアリングとは違う領域に強みを持つ、ということです。その方が向いているのではと感じ、職種を変えてきました。

今は、どちらかというとオーケストラの指揮者のような立ち位置で、全体の取りまとめを行っています。IBMの人材を活用していく仕事をメインにすることで、より自分が活躍できる場面が広がっている印象です。

Q.現在の仕事内容、役割マップ*を見ながら解説ください。

*役割マップ
=「社員が何を行なっているのか」「誰と仕事をしているのか」「期待の大きさ」を視覚化したもの

いくつか役割を担っています。ここでは、AI Transformationのラインマネージャーとしての仕事をご紹介します。

AI Transformationで扱う分野は複数あります。AIと一口に言っても、例えば自然言語認識、音声認識、数値系のシミュレーション等があります。どの分野を重点的に展開していくのか、他のマネージャーとも相談し、その戦略を立案し、実行しています。

オファリングの整理と展開も重要な仕事です。グローバルから輸入してくるオファリングと、日本で生み出されたオファリングを整理し、他のお客様に利用していただけるよう展開を図っています。

また、チームメンバーのキャリア支援やスキル育成も行っています。プロジェクトのアサインやスキル育成の機会は、本人の希望にできるだけ沿うことがengagementの向上に繋がります。

マネージャーとして、キャリアの相談に乗ることがあります。AI Transformationのメンバーは、職種がバラバラです。現在は、コンサルタント、プロジェクトマネージャー、データサイエンティスト、アーキテクトと多岐に渡ります。私自身が職種を変えてきたので、幅広いプロフェッションでの経験を元にアドバイスを行うことができます。ですがメンバーは、職種固有の悩みを抱いているケースもあります。そのような時は、他の専門性の高い方に面談を依頼し、メンバーのキャリアに対する相談に乗れる体制を作っています。

Q.そもそもの質問です。AI Transformationの上位組織であるDTTは何を行っている組織ですか?

IBMコンサルティング事業本部は、サービスラインとセクターラインに分かれています。サービスラインは、特定の業界(セクター)を固定するのではなく、テクノロジーに軸足を置き、様々なお客様をご支援しています。データ・アンド・テクノロジー・トランスフォーメーション(DTT)は、サービスラインに位置付けられている組織で、データとテクノロジーを活用し、お客様のデジタル化をご支援しています。その中で、AI Transformation(AIT)は、AIに主軸を置いている組織です。

Q. AI Transformationは、どのようなお客様を担当されているのですか?

サービスラインですので、特定の業界のお客様を担当しているわけではありません。公共や製造、金融、メディカルと、様々な業界のお客様をご支援しています。メンバーによって「強い業界」があります。それぞれの方の希望や経験を鑑みて、主に担当していく業界を決めています。

Q.お客様がどのような課題感を持たれているのか、教えてください。

課題として多いのは、「知の継承」に関わる内容です。今まで会社を支えてきたベテランの方々が退職される年代を迎えています。今まで人に頼っていた部分を継承していく必要があるが、なかなかうまくできていない、という課題です。そもそも日本では人手が不足し、新たな人材の採用が難しいという課題をお持ちのお客様も多くいらっしゃいます。

Q.もう少し詳しく教えてください。

例えば、化学のお客様であれば、法規制に対応するための調査の仕方やデータソース、判断基準は、ベテランの方々が熟知されています。設備保全の世界であれば、保全を長年経験して来られた方が、故障の検知や対処の方法を把握し、対応されていました。現場では、過去に起きた労災問題に基づき、どのようなリスクがあるのかをベテランの方々が理解していました。いずれも、匠の技の世界です。多くのお客様は、その匠の世界の継承がうまくできていないことに課題感を感じておられます。

Q.そのような課題に対して、IBMはどのようなご支援をしているのですか?

多くのお客様と、AIとデータを使った取り組みが始まっています。

例えば、ガイドや規制の文章に代表される「非構造化データ」と、センサー・データに代表される各種「構造化データ」を組み合わせて、今までベテランの方しか見出せなかった事象を、若い方でも見出せるようにする、といった取り組みです。

今後起きそうな課題を把握し、リスクを軽減する、そのためにAIとデータが使われています。AIは、付加価値をもたらすという側面もありますが、人材の穴埋めに活用され始めている、とも言えます。

Q.IBMをお選びいただいているのはなぜでしょうか?

「AIと言えばWatson」「Watsonと言えばIBM」というイメージをお持ちのお客様が多くいらっしゃいます。これが1つの理由かもしれません。そのようなイメージを抱いていただいているのは、IBMが早い頃からWatsonを打ち出してきたからというのが影響していると思います。

ただ、イメージだけで選ばれているわけではありません。実績に対する評価も、IBMが選ばれている理由の1つです。

AIに限らず、新たな取り組みが始まる際は、事例や実績を気にされるケースが多々あります。その際に、日本だけではなく、海外の取り組みもご紹介できることがIBMの強みです。お客様は国内の事例はもとより、ITの利活用に於いて先をいく海外の企業が、どのようにAIを使われているのかに大変高い関心を持たれています。そのようなお客様に対して、海外での実績がある点をご評価いただいています。

また、IBMは「IBMのソリューションだけを取り扱っているわけではない」のも、ご評価いただいている点です。IBMは、様々なハイパースケーラーと協業し、お客様に合わせた最適なAIを採用することに力を入れています。

Q.グローバルでの事例がお客様にご評価いただいているのですね。

IBMがお客様から求められていることの1つだと思います。

より先進的な取り組みを行いたいとお考えのお客様が多くいらっしゃいます。日本で行っていることを実施しても、先進的なケースになりえず、むしろグローバルの取り組みを参考にした方が先進化しやすいケースがあります。

最近は、自社用に作った仕組みを、他の企業に展開していこうというケースが始まっています。

Q.どのようなケースですか?

化学物質を製品として輸出するお客様が、各国で乱立している輸出入に関わる規制に対応するために、誰もがベテランの方と同じように判断できるよう、AIを導入されました。AIを使うことで「輸出して良いのか、悪いのか」を判断できる材料を提供する仕組みです。

製品の輸出は、化学のお客様だけではなく、例えば製造業のお客様も少なからず行っています。同様に輸出入に関わる規制への対応も行っています。自社で構築した仕組みをSaaSのサービスとして提供することで、同様の課題を抱えている他の企業は自社でシステムを作らなくて良い、サービスを提供した会社は料金化することで収益につながる、というwin-winになります。

ブロックチェーンやサステナビリティーに対する考え方もそうですが、一企業でビジネスを考えるという時代ではなくなってきている感があります。社会風潮として、「自社に拘らず、周囲と協業していく」形が今まで以上に進んでいくのかもしれません。

Q.最後の質問です。IBMでのキャリアを通じて成し遂げたいことを教えてください。

日本はモノづくりで世界をリードしてきました。一方で、デジタル化は周りの国に比べて遅れているのが現状です。この現状をとても寂しく感じています。ですので、日本企業のデジタル化を促進していきたいと考えています。

そのためにIBMの組織を強くしていきたいと思っています。私たちは、他のサービスラインやセクターラインとも仕事をします。また、テクノロジーの部門とも協業する機会があります。良いものをお客様にお届けするために、社内の協業を今まで以上に推進していけたらと思います。その際、IBMの技術だけでお客様に価値をお届けするのではなく、ハイパースケーラーとの協業も必要です。

これらを、指揮者的な役割で推進していきたいと思います。お客様ともより良い共創を行い、結果として日本のデジタル化に貢献ができるよう、頑張っていきたいです。


根本 亮
インタビュー・執筆:根本 亮
Japan Employer Branding Manager
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