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Smarter Business

保険業界編|変革実現と効果的な学習環境

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有井 勝之氏

有井 勝之氏
リンクトイン・ジャパン株式会社
タレントソリューション
シニアインサイトアナリスト
 

楽天やリクルートなどで、AIやデータを活用したプロダクト開発やビジネス戦略をリードした後、2021年にLinkedInに入社。9億人を超えるLinkedInメンバーのデータから最新の人材・企業トレンドの分析に従事。

 

森高 小友理

森高 小友理
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング事業本部
保険・郵政グループサービス事業部
保険インダストリー・コンサルティング
マネージング・コンサルタント

損保系生保などで、総合職として複数部門を経験し、共創型ビジネスのプロジェクトをはじめ、新領域の企画開発・推進に従事。IBM入社後は、構想策定支援をはじめ、保険会社のDX支援を行っている。

保険業界でも、他の業界と同様、将来の事業戦略実現に必要なスキルを明確にし、従来の集合型の人材育成施策だけでなく、社員が自ら選択することができるデジタル研修ツールを整えるなど、積極的に人材育成に取り組んでいます。

デジタル研修ツール導入後、社員一人ひとりの自律的なスキル獲得の促進・定着、組織における効果的な活用という観点で、どのような点を意識すると良いでしょうか。

日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、IBM)の保険コンサルタントが、IBMとパートナーシップを結ぶLinkedInラーニングサービスを提供する大手企業LinkedIn Japan株式会社(以下、LinkedIn)の有井氏に、対談形式で質問しました。

AIが学習を提案・促進する仕組み

――LinkedInラーニングには、社員一人ひとりの自律的な学習を後押しする仕組みがあるそうですね。どのようなものでしょうか?

有井 LinkedInラーニング※1には、20,000を超える各分野の専門家がお届けする高品質の多様なコース※2に加え、各従業員の目的やレベルに応じて学習コースを提案するAIがあります。具体的に何を学んだら良いかを悩む方から、深く学びたい方まで、「誰でも」必要なスキルを学ぶ仕組みをご提供しています。


※1 LinkedInラーニングは、ビジネスで欠かせないスキルをオンラインで学ぶことができ、世界で13,000以上の企業・組織が利用する学びのプラットフォームです。
※2 1,200を超える日本語コース、9,000を超える英語コースへの機械翻訳字幕、多言語展開(英語、フランス語、ドイツ語、日本語、スペイン語、中国語、ポルトガル語、オランダ語、イタリア語、トルコ語、ポーランド語、韓国語、インドネシア語)

図1:学習者の行動に応じAIが提案した学習コースの例 width=図1:学習者の行動に応じAIが提案した学習コースの例(出典:LinkedIn Japan株式会社)

森高 AIによる学習コースの提案以外に、学習時間があまりない方でも、積極的に学び続けられる仕組みはありますか。

有井 5分程度の短時間で行うようなマイクロラーニングやモバイル対応をしているので、移動中などの隙間時間を見つけて「いつでも」「どこからでも」学習することができます。また、音声のみのコースがありますので、画面を見ることができない場面でも学習することができます。こうした仕組みを活用いただくことで、学習習慣があまりない方でも、積極的に学び続けられる環境を提供できるのではないかと考えます。

森高 コンテンツのカテゴリーはビジネス、テクノロジー、デザインとなっていますが、具体的な事例を教えてください。

有井 例えば、職種によらず、リーダーシップやコミュニケーションなどのソフトスキルの重要性が再認識されています。1日20分間の学習をすると、1ヶ月で10時間の学習時間になりますが、1ヶ月あれば、これらの考え方について、何かしら学ぶことができると思います。LinkedInラーニングでも人気のあるトピックの1つになっています。

戦略実現に必要な新たな挑戦を後押しする仕組み

――DXにより、今後必要となる新たな職務やスキルを明示したり、新たな職務・ポストにチャレンジする制度を設けたり、社員が自ら主体的にキャリアを考えるように促している保険会社もあります。目標が明確な場合、どのような活かし方がありますか。

有井 目標が明確な場合は「ポジションガイド」が効果的です。ポジションガイドには、チャレンジしたい職務やポストに必要なスキルとそのスキルを学習するためのコースが紐づいているので、具体的に何を学べば良いのかがすぐにわかります。

また、「ラーニングパス」にはその役割に必要なスキルやトピックに関するコースとおすすめの学習順序が設定されているので、さらに効率よく、目標に向かって学習をすることができます。

図2:ポジションガイドの例 width=図2:ポジションガイドの例(出典:LinkedIn Japan株式会社)

森高 自分と同じポジションの方や、自分が目指したいポジションの方が学んでいるスキルや学習順序が分かると参考になりますね。これまで、スキルを意識してこなかった方にも、学習意欲を促進しそうです。

森高 目標が明確でない場合は、おすすめの方法はありますか。

有井 目標が明確でない場合は、多くの方が学んでいる「人気のコース」や「注目コース」から自分の仕事に役立ちそうなスキルや興味のあるトピックを探してみることをおすすめします。

また、LinkedInアカウントをお持ちの方は、アカウントを利用することで、繋がりのある自分の同僚や友達が興味を持ったコースがわかるので、「あっ、同僚のAさんがいいね!している。自分も見てみよう。」といった気づきのきっかけにもなると思います。

森高 社内外から刺激を受け、組織全体へ波及し、効果的な学習へと繋がりそうです。

有井 まさに、1人で学ぶより、集団で学ぶ方が周りからの多くの刺激を受け、学習を継続しやすくなります。自分に似たような属性から受ける刺激もあれば、年齢が離れた方から受ける刺激などもありますよね。結果として、一部の従業員だけが学ぶことができる環境(若手だけが学ぶ、ベテランだけが学ぶ)より、全従業員が学べる環境(若手もベテランも学ぶ)の方が、会社全体の学習時間や頻度が活性化する傾向もあります。

森高 DXにより、保険の枠を超え、新たな事業領域に展開することもあります。保険業界以外の業界の新たな知識・スキルが必要になった方に、効果的な仕組みはありますか。

有井 (その業界の)従業員がどのようなスキルやコースを学んでいるかを参考にしながら、データを基に、新しく学ぶスキルやトピックの特定をすることができます。
また、スキルの習熟レベル別におすすめのコースが分かれているので、初級レベルから一歩ずつ学習することがで、安心して学び始めることができます。

マネージャーの学ぶ姿勢がチームメンバーの刺激になる

――マネージャーの立場から見ると、部下の育成が重要です。1on1のような場面で、アドバイスの仕方、仕事のフィードバックの仕方など、工夫できることについて、具体的に教えてください。

有井 まずは、キャリアの目標設定や学習する目的について、しっかりと話し合うことが大切です。学習する目的が明確な方が学習は継続するというデータもあります。そして、学習の進捗状況を1on1で確認しながら、学習にあたっての課題や、学習の結果、何につながるのかといった目的の再確認を通して、モチベーション管理を行うことも大切です。

図3:目標設定と学習支援の例 width=図3:目標設定と学習支援の例(出典:LinkedIn Japan株式会社)

森高 より良いフィードバックに繋げることで、マネージャーのチームメンバーとの対話の質の向上に貢献しそうですね。

有井 そうですね。なにより、マネージャーとチームメンバーの学習時間には綺麗な相関関係があることがわかっています。つまり、マネージャー自身の学習する姿勢も大切です。マネージャーの学習なくしてチームメンバーの学習促進は難しいです。社内全体を巻き込み、従業員全員で学び、力強い学習文化を作り上げていきましょう。

森高 今回の対談を通じ、様々な仕掛けが埋め込まれており、お客様である保険会社のDXの取組に効率的・効果的な学習環境があり、変革を担う人材育成や組織力向上に繋がると感じました。
次回は、このブログで、ぜひLinkedInラーニングを導入されているお客様の事例をご紹介できればと思います。