FODC の一部として収集されたデータ

First Occurrence Data Capture (FODC) の結果として、FODC パッケージのディレクトリーとサブディレクトリーが作成され、診断情報が収集されます。 親パッケージ・ディレクトリー、サブディレクトリー、および収集されるファイルをまとめて FODC パッケージと呼びます。

FODC によって収集される診断情報が含まれるファイル

FODC は複数のソースから診断情報を収集します。 FODC によってキャプチャーされる正確な診断情報は、検出された問題のタイプに応じて異なり、以下の情報が含まれる可能性があります。

管理通知ログ (instance_name.nfy)
  • オペレーティング・システム: すべて
  • デフォルト・ロケーション:
    • Linux® および UNIX: diagpath データベース・マネージャー構成パラメーターで指定されたディレクトリーにあります。
    • Windows: イベント・ビューアー・ツールの使用 (「スタート」 > 「コントロールパネル」 > 「管理ツール」 > 「イベント・ビューアー」)
  • インスタンスが作成されると自動的に作成されます。
  • 重要なイベントが発生すると、 Db2® は管理通知ログに情報を書き込みます。 情報は、データベースおよびシステム管理者が使用するためのものです。 このファイルに記録されるメッセージのタイプは、notifylevel 構成パラメーターによって決定されます。
    注: diagsize データベース・マネージャー構成パラメーターがゼロ以外の値に設定されている場合、単一の管理通知ログ・ファイルの動作 (instance_name.nfy) は、循環ログ動作 (instance_name.N.nfy) に変更されます。
Db2 診断ログ (db2diag ログ・ファイル)
  • オペレーティング・システム: すべて
  • デフォルト・ロケーション: diagpath データベース・マネージャー構成パラメーターで示されるディレクトリーにあります。
  • インスタンスが作成されると自動的に作成されます。
  • このテキスト・ファイルには、インスタンスで発生するエラーおよび警告に関する診断情報が入ります。 この情報はトラブルシューティングに使用され、 IBM ソフトウェア・サポートの技術員を対象としています。 このファイルに記録されるメッセージのタイプは、diaglevel データベース・マネージャー構成パラメーターによって決定されます。
    注: diagsize データベース・マネージャー構成パラメーターがゼロ以外の値に設定されている場合、単一の診断ログ・ファイルの動作 (単一の db2diag.log ファイル) は、循環ログ動作 (db2diag.N.log) に変更されます。
Db2 Administration Server (DAS) 診断ログ (db2dasdiag.log)
  • オペレーティング・システム: すべて
  • デフォルト・ロケーション:
    • Linux および UNIX: DASHOME/das/dumpにあります。ここで、 DASHOME は DAS 所有者のホーム・ディレクトリーです。
    • Windows: DAS ホーム・ディレクトリーの「dump」フォルダーにあります。 例: C:\Program Files\IBM\SQLLIB\DB2DAS00\dump
  • DAS が作成されると自動的に作成されます。
  • このテキスト・ファイルには、DAS で発生するエラーおよび警告に関する診断情報が入ります。
Db2 イベント・ログ (db2eventlog.xxx、xxx はデータベース・パーティション番号)
  • オペレーティング・システム: すべて
  • デフォルト・ロケーション: diagpath データベース・マネージャー構成パラメーターで指定されるディレクトリーにあります。
  • インスタンスが作成されると自動的に作成されます。
  • Db2 イベント・ログ・ファイルとは、データベース・マネージャーで生じるインフラストラクチャー・レベルのイベントの循環ログのことです。 このファイルはサイズが一定で、インスタンスの実行時に記録される特定のイベントに関する循環バッファーの働きをします。 インスタンスを停止するたびに、以前のイベント・ログは付加されずに置き換えられます。 インスタンスがトラップした場合は、db2eventlog.XXX.crash ファイルも生成されます。 これらのファイルは、 IBM ソフトウェア・サポートが使用するためのものです。
Db2 コールアウト・スクリプト (db2cos) 出力ファイル
  • オペレーティング・システム: すべて
  • デフォルト・ロケーション: diagpath データベース・マネージャー構成パラメーターで指定されるディレクトリーにあります。
  • db2cos スクリプトが FODC 停止の結果として実行される場合、db2cos 出力ファイルは、diagpath データベース・マネージャー構成パラメーターで指定された場所に作成された FODC ディレクトリーの下に置かれます。
  • パニック、トラップ、またはセグメンテーション違反が発生すると自動的に作成されます。 db2pdcfg コマンドを使って指定された特定の問題のシナリオで作成される場合もあります。
  • デフォルトの db2cos スクリプトは、db2pd コマンドを呼び出してアンラッチ方式で情報を集めます。 db2cos 出力ファイルの内容は、オペレーティング・システムのコマンドおよび他の Db2 診断ツールなど、db2cos スクリプトに含まれるコマンドに応じて異なります。 db2cos スクリプトで実行されるツールに関する詳細については、テキスト・エディターでスクリプト・ファイルを開いてください。
  • db2cos スクリプトは、出荷時に bin/ ディレクトリーに入っています。 UNIX では、このディレクトリーは読み取り専用です。 このスクリプトの独自の変更可能バージョンを作成する場合は、db2cos スクリプトを adm/ ディレクトリーにコピーしてください。 そのバージョンのスクリプトは、自由に変更できます。 スクリプトが adm/ ディレクトリーにある場合は、そのバージョンが実行されます。 そうでない場合は、bin/ ディレクトリーにあるデフォルト・バージョンが実行されます。
ダンプ・ファイル
  • オペレーティング・システム: すべて
  • デフォルト・ロケーション: diagpath データベース・マネージャー構成パラメーターで指定されるディレクトリーにあります。
  • これらのファイルが、FODC 停止中にダンプされた場合、それらのファイルは FODC ディレクトリーの下に置かれます。
  • 特定の問題のシナリオが現れると自動的に作成されます。
  • エラー状態によっては、失敗したプロセス ID の名前が付いたバイナリー・ファイルに追加情報が記録されます。 これらのファイルは、 IBM ソフトウェア・サポートが使用するためのものです。
トラップ・ファイル
  • オペレーティング・システム: すべて
  • デフォルト・ロケーション: diagpath データベース・マネージャー構成パラメーターで指定されるディレクトリーにあります。
  • これらのファイルが、FODC 停止中にダンプされた場合、それらのファイルは FODC ディレクトリーの下に置かれます。
  • インスタンスが異常終了すると自動的に作成されます。 db2pd コマンドを使って随意に作成することもできます。
  • データベース・マネージャーは、トラップやセグメンテーション違反、 例外などにより処理が続行できない時、トラップ・ファイルを生成します。
コア・ファイル
  • オペレーティング・システム: Linux および UNIX
  • デフォルト・ロケーション: diagpath データベース・マネージャー構成パラメーターで指定されるディレクトリーにあります。
  • これらのファイルが、FODC 停止中にダンプされた場合、それらのファイルは FODC ディレクトリーの下に置かれます。
  • Db2 インスタンスが異常終了するとオペレーティング・システムによって作成されます。
  • 特に、コア・イメージには、Db2 のほとんどまたはすべてのメモリー割り振りが組み込まれます。その情報は、問題を説明するために必要になる場合があります。
    注: diagsize データベース・マネージャー構成パラメーターがゼロ以外の値に設定され、ローテーション db2diag.log 管理の一環として古い db2diag.log ファイルが削除された場合、 新しい db2diag.log タイム・スパンより古い FODC ディレクトリーおよびその他の診断ファイルは削除されます。

FODC パッケージ・パスと内容

FODC は、指定された FODC パス内に FODC パッケージ・ディレクトリーを作成します。 FODC パスを指定するには、FODCPATH レジストリー変数設定か、db2fodc -fodcpath コマンド・パラメーター・オプションを使用します。 FODC パスを指定しないと、First Occurrence Data Capture は診断情報を現行の診断ディレクトリー・パス (diagpath または alt_diagpath) に送信します。 db2diag ログ・ファイル診断メッセージはログに記録され、FODC に使用したディレクトリー名を識別します。 診断情報をキャプチャーすると、指定されているパラメーターによっては、大量の診断データが生成される可能性があるので、FODC が診断情報を格納するディレクトリー・パス内で十分なスペースが使用可能でなければなりません。 FODC がファイル・システム内の使用可能なスペースを占有し、データ・サーバーに影響を及ぼすようなシナリオにならないようにするには、FODC が診断データを格納できる FODC パスを指定することをお勧めします。

自動 FODC の場合、問題が発生しているメンバーまたはパーティションに関するパッケージが収集されます。複数のメンバー上で問題が発生している場合は、複数のパッケージが別々の FODC パッケージ・ディレクトリー内に収集されます。 FODC パッケージ・ディレクトリーは、命名規則 FODC_outageType_timestamp_member_number に従います。outageType は問題の症状、timestamp は FODC 呼び出しの時刻、member_number は問題の発生場所のメンバーまたはパーティション番号です。 例えば、メンバー 1 でトラップが発生した場合は、FODC は FODC_Trap_ 2010-11-17-20.58.30.695243_0001 のような名前のパッケージを自動的に作成します。

手動 FODC の場合、指定したメンバーまたはパーティションに関するパッケージが収集されます。 FODC パッケージ・ディレクトリーの命名規則は FODC_manualOutageType_timestamp_memberList になります。manualOutageType は問題の症状、timestamp は FODC 呼び出しの時刻、memberList は問題の発生場所のメンバーまたはパーティションのリストです。 例えば、手動で発行されたコマンド db2fodc -hang -basic -member 1,2,3 -db sample は、メンバー 1、2、および 3 の手動 FODC パッケージを作成し、 FODC_hang_ 2010-11-17-20.58.30.695243_0001.0002.0003のような名前になります。

FODC パッケージ・ディレクトリーに、以下のサブディレクトリーが 1 つ以上作成されます。
  • Db2CONFIG (Db2 の構成出力とファイルが入ります)
  • DB2PD (db2pd の出力または出力ファイルが入ります)
  • Db2SNAPS (Db2 のスナップショットが入ります)
  • Db2TRACE (Db2 のトレースが入ります)
  • OSCONFIG (オペレーティング・システムの構成ファイルが入ります)
  • OSSNAPS (オペレーティング・システムのモニター情報が入ります)
  • OSTRACE (オペレーティング・システムのトレースが入ります)
db2fodc コマンドの実行対象の FODC 構成と障害タイプによっては、これらのディレクトリーの一部が存在しない場合があります。

FODC は以下の診断情報を FODC パッケージ・ディレクトリーに送信します。

db2fodc -clp は、以下の情報を収集します。
  • オペレーティング・システム情報
  • インスタンスとデータベースの構成情報
db2fodc -hang は、以下の情報を収集します。
db2fodc -hang は、以下の情報を収集します。
  • 基本オペレーティング・システム情報。 問題は OS レベル、パッチなどに起因する可能性があります。
  • 基本 Db2 構成情報。
  • オペレーティング・システムは、vmstat、netstat、iostat などの情報をモニターします。
    • 保存されているタイム・スタンプを使用して少なくとも 2 度繰り返されます。
  • 部分的な呼び出しスタック。CPU の上位エージェントの Db2 スタック・トレース。
  • オペレーティング・システム・トレース: AIX®でのトレース。
  • db2pd によって収集される診断情報。
  • Db2 トレース。
  • Db2 呼び出しスタック。
  • 2 回目の Db2 構成情報。
    • 2 度目の Db2 トレース・コレクションが含まれます。
  • スナップショット情報。db2 get snapshot for データベース、アプリケーション、表など。
    • 複数の論理ノードがある場合、ノードごとに情報が収集されます。
db2fodc -perf は、以下の情報を収集している可能性のあるシステムをモニターします。
  • スナップショット
  • スタック・トレース
  • 仮想メモリー (Vmstat)
  • 入出力情報 (Iostat)
  • トレース
  • 状況に応じた他のいくつかの情報。 詳しくは、スクリプトを参照してください。
db2fodc -fodcerror FODC_[Index|Data|Col]Error_directory は、以下のいずれかと関連するデータを収集します。
  • 索引エラー (FODC_IndexError_directory)
  • データベース・マネージャー・エラー (FODC_DataError_directory)
  • カラム・オーガナイズ表エラー (FODC_ColError_directory)
(FODC_DataError_directory および FODC_ColError_directoryDb2 Cancun Releaseに追加されました。)
  • 基本モード
    • db2cos_[index|data|col]error_short(.bat) スクリプトが実行されます。 詳しくは、スクリプトを参照してください。
    • db2cos_indexerror_short(.bat)では、該当する db2dart コマンドがスクリプト内に存在する場合、 db2dart /DDdb2dart /DI、または両方のデータ・フォーマット・アクションが、100 ページに制限されたページ数で実行されます。
    • db2cos_dataerror_short(.bat) では、該当する db2dart コマンドが スクリプト内に存在する場合、db2dart /DD データ・フォーマット・アクションはページ数を 100 に限定して実行されます。
    • db2cos_colerror_short(.bat) では、該当する db2dart コマンドが スクリプト内に存在する場合、db2dart /DC データ・フォーマット・アクションはページ数を 100 に限定して実行されます。
  • 完全モード
    • db2cos_[index|data|col]error_short(.bat) スクリプトおよび db2cos_[index|data|col]error_long(.bat) スクリプトが実行されます。 詳しくは、スクリプトを参照してください。
    • db2cos_indexerror_short|long(.bat) の場合:
      • 該当する db2dart コマンドがスクリプト db2cos_indexerror_short(.bat)db2dart /DDdb2dart /DI、または両方のデータ・フォーマット・アクションに存在する場合は、ページ数を 100 に制限して実行されます。
      • 該当する db2dart コマンドがスクリプト db2cos_indexerror_long(.bat)db2dart /DDdb2dart /DI、または両方のデータ・フォーマット・アクションに存在する場合は、ページ数を制限せずに実行されます。
      • 該当する db2dart コマンドが db2cos_indexerror_long(.bat) スクリプト内に存在する場合、 db2dart /T コマンドが実行されます。 このコマンドでは、データベースがオフラインであることが必要です。
    • db2cos_dataerror_short|long(.bat) の場合:
      • 該当する db2dart コマンドがスクリプト db2cos_dataerror_short(.bat)に存在する場合、 db2dart /DD データ・フォーマット・アクションは、100 ページに制限されたページ数で実行されます。
      • 該当する db2dart コマンドがスクリプト db2cos_dataerror_long(.bat)に存在する場合、ページ数に制限なしで db2dart /DD データ・フォーマット・アクションが実行されます。
      • 該当する db2dart コマンドが db2cos_dataerror_long(.bat) スクリプト内に存在する場合、 db2dart /T コマンドが実行されます。 このコマンドでは、データベースがオフラインであることが必要です。
    • db2cos_colerror_short|long(.bat) の場合:
      • 該当する db2dart コマンドがスクリプト db2cos_colerror_short(.bat)に存在する場合、 db2dart /DC データ・フォーマット・アクションは、100 ページに制限されたページ数で実行されます。
      • 該当する db2dart コマンドがスクリプト db2cos_colerror_long(.bat)に存在する場合、ページ数に制限なしで db2dart /DC データ・フォーマット・アクションが実行されます。
      • 該当する db2dart コマンドが db2cos_colerror_long(.bat) スクリプト内に存在する場合、 db2dart /T コマンドが実行されます。 このコマンドでは、データベースがオフラインであることが必要です。
db2fodc -preupgrade は、以下の情報を収集します。
  • オペレーティング・システム情報
  • db2level コマンドの出力、環境変数、db2 get dbm cfg コマンドの出力、db2nodes.cfg ファイルなどの、インスタンスとデータベースの構成情報
  • システム・カタログ・データおよび統計 ( db2support -d dbname -c -s -cl 0 コマンドによって収集されたオプティマイザー情報など)
  • オペレーティング・システムのモニター・データ ( netstat -v および ps -elf コマンドの出力など)
  • システム・ファイル
  • Db2 LIST PACKAGES FOR SCHEMA schema-name SHOW DETAIL コマンドによって戻される、すべてのスキーマ名に関するパッケージ情報
  • db2dump/ にある FODC_Preupgrade ディレクトリー。 これらのディレクトリーには、パフォーマンス・データ、上位の動的 SQL 照会、EXPLAIN PLAN などの情報が含まれます。
  • /tmp/db2ckupgrade.log.processID内の db2ckupgrade コマンドからのログ・ファイル (存在する場合)
  • db2prereqcheck コマンドからの出力
収集対象のメンバーを指定すると、以下の診断情報も組み込まれます。
  • スナップショット (すべてのモニター・スイッチをオンにした後)
  • -everything、-agents、-applications、-mempools、および -fcm パラメーターに関する db2pd コマンド出力
  • 最も頻繁に使用される動的 SQL ステートメント
  • SQL ステートメントに関する照会プラン
  • 静的パッケージに関する EXPLAIN PLAN

手動で db2fodc コマンドを呼び出すと、db2fodc_symptom.log という名前のログ・ファイルが FODC_symptom ディレクトリー内に作成されます。symptomhangperf などの収集タイプの 1 つです。 また db2fodc コマンドは、FODC サブディレクトリー内の FODC パッケージについて説明した状況情報およびメタデータをこのファイルに保管します。 このファイルには、FODC のタイプに関する情報、データ収集の開始と終了のタイム・スタンプ、および FODC パッケージの分析に役立つその他の情報が入れられます。